朝焼けダイアリング
「先輩、大丈夫かな…」
あの後、兄に半ば無理矢理自宅に引っ張って来られルークは不満だった。
(ホントは心細かったんじゃ…)
誰だって病気の時は心細い。
しかも、一人暮らしなら尚更だ。
(こんな時間にかけたら迷惑、でも先輩寂しがってたらどうしよう)
携帯をぎゅうぅっと握りしめるとルークは明るくなってきた部屋の中で寝返りをうつ。
「先輩」
呟いた瞬間、ディスプレイに「calling」と表示され、うーうーと携帯が震える。
「先輩っ!」
『もしもし、こんな時間にごめんな』
「具合いかがですか?」
『いい感じ、ルークの作っておいてくれたお粥食べて薬飲んでまた寝るとこ…うまかった、さんきゅ』
「今日、また作りに行きます…ホントは今すぐ先輩のとこに行きたいです」
ずっと傍にいたいと言えばルカが小さく笑うのが電話越しにわかる。
『俺も、お前に傍にいてほしい…こんな朝方じゃ起きてないって思いつつさ、つい電話しちまった』
「起きてました、先輩に電話かけようか迷ってて」
『よかった…来週ちゃんと埋め合わせするから』
「じゃあ、きちんと元気になってもらえるように、栄養つくもの作りに行きます」
妙に甘えてくる、ルカが愛しくてルークはもっとその可愛い一面を堪能しようと携帯に耳を寄せる。
「先輩、」
『ん?』
「可愛いです」
『あんまりからかうなよ』
「ごめんなさい…でも」
そんな先輩が大好きですとルークはカーテンの隙間から見えた柔らかい光に照らされる空を見つめて告げた。
END
お題配布元:夜風にまたがるニルバーナ
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