夕焼けコォリング




(…風邪だ)

ピピッピピッと電子音が響いて体温計は37.6℃を表示する。
平熱が低いせいで多少熱が上がったくらいでこのざまだとルカはぐったりとベッドに沈み込む。
ルークと遊ぶ予定だったがこれは流石に無理だと、メールをすると返信を見る気力もなくベッドに臥せった。

どれくらいたったのか不意に携帯が手の内で震えいるのに気づく。

「もしもし…」

唸り声みたいだと頭をかくと、電話の向こうで小さく息を飲むような音がする。

『先輩、具合いかがですか?』
「ルーク」

西日が窓から、ルカの顔を照らす。
なんだか、急に人恋しいような妙な感覚に名前を呼べば、電話の向こうから返事が返ってくる。

『先輩?』
「今日、ごめんな」
『気にしないでください…あの、兄から一人暮らしだって伺ったので、この間教えていただいた部屋の番号、ドアのとこにゼリーとかお薬とか、かけておくのでよかったら食べてくださいね』

ルークの声に、ルカはベッドから立ち上がるとフラフラになりながら玄関へと向かう。

「ルーク、今部屋の近く?」
『はい、今』

ドアを開けると調度背を向けて歩いている赤毛を見つけて、ルカは後ろから抱きしめた。

『「先輩!?あの、具合っ」』
『「…っ悪い、ちょっとでいいから、傍にいて」』

電話を介した声と介さない声がルークの耳で交わる。

「先輩、まだ熱…」
「わる、い…」
「早く、部屋に戻りましょう!大丈夫、俺は先輩の傍にいますから」

熱が高いのだろう、涙目のルカの手を握るとルークは部屋へ引き返した。



END




お題配布元:夜風にまたがるニルバーナ









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