虜
『俺が忘れさせてやろうか?』
それは甘い、甘い、睦言。
とろりとルークの耳を流れ、脳を痺れさせる。
『どうして欲しいか言ってみろよ』
痺れる。
痺れてどうしようもない身体。
「なお、して…わすれ、させて」
後ろから抱きしめられた腕に、すがるように俺は意識を失っていった。
「ここ、どこ」
真っ暗でなにも見えない。
「どこだっていいさ、ルーク」
「誰?」
「ホントにわからないのかよ、薄情な奴だな」
声の主を見れば、それは毎日よく見ていた容姿。
今だって変わらない。
変わったのはその特徴的な髪の長さだけ。
「俺…?」
「そう、お前だよ」
「でも、なんでっ」
「いいんだっつーの!お前は俺の声に答えて俺に助けを求めた…それだけでいいんだよ」
そう言って目の前の俺が笑えば、ずっと感じていた痺れと疼きがまた大きくなってくる。
「ぁ、」
「ほら、助けてほしかったら自分で全部脱げよ」
「や、っ…」
「俺は別にいいんだぜ、その痺れと疼きが止まらなくてお前がそこで悶えててもな」
「や、だ、たすけ、て」
「じゃあ、全部自分で脱いで見せろ」
震える手を叱咤してルークはゆっくりと服を一枚一枚脱いでいく。
上着、インナー、ズボン、下着…舐めるような視線に頬を紅潮させてルークは全ての衣服を取り去る。
「これで、いい?」
「あぁ、それでいい…直ぐに治してやるよ」
頬を撫でた指が胸へと伝い、布地で擦れて立ち上がった乳首にかかる。
「んぅ…っ」
鼻から抜けるような声が出て、ルークはぶるりと身を震わせた。
口調はあれほど乱暴なのに手つきは驚くほど優しいのだ。
「は、ん!ぁぅ…」
「まだ、泣くのは早ぇよ」
「ぁあっ!そんなふうに弄らないでぇ」
指の腹でグリグリと潰されては堪らない。
身悶えるルークを、『ルーク』は笑みを浮かべ観察した。
「もうグショグショに濡れてるぜ」
「やぁあぁっ」
「くく、嫌?嘘つくなよ痺れと疼き満たされてくだろ?」
「ん、ふあぁっあっあっ」
ルークはそこを攻める手に鳴いた。
気持ちよくて、どんどん満たされていくのを感じて、気づいていたら押し付けるようないやらしい動きで、誘っていた。
「ほら、イキそうなんだろ?」
「はぁっあぁっ、でるっでちゃうよぉ」
「いいぜ、イケよっ」
「きゃうぅっ!っぁ!」
びゅくびゅくとルークは精液を噴いて腹を汚した。
満たされるのがこんなにきもちいいことだと知ってしまったら、頭ではこんな恥ずかしいことを、と思いつつも身体は抵抗できなかった。
「まだ、だろ?ん?」
「ん、してよぉ、たりない、たりない」
お願いとでもいうように自分から四つん這いになったルークに、『ルーク』は満足そうに頷く。
自分は欠けたルークの一部なのだから、満たされるのも当たり前なのだ。
「いれるぜ」
「ンゥっ、痛ぁっ」
「時期によくなるって」
滑りがよくなっていた『ルーク』のものは、簡単に飲み込まれていった。
自分が自分を拒絶するなんてあり得ないこと、だから、ルークの中に入るなんてことは朝飯前。
「すごいっンっ!お、おくがっ」
「当たってきもちいいだろ?」
「ひあぁぁっ!ごりごりしてゅょぉ」
はくはくと息を吐いて、唾液を溢す様子は堪らない。
『ルーク』は己がもっと興奮するのを感じてガンガンと突き上げた。
「ああぁあっ!おおきぃ、んっ!!」
「くっ!」
「ひゃぁあっ!ふかいっふかいから、らめえぇ!!」
急に四つん這いから起こされたルークは、誰にも暴かれたことのない奥までつかれ悲鳴をあげた。
「ああぁっ、やぁやあぁっ」
「とっとと、出しちまえよっ」
「ァああぁああーっっ!!!」
先程よりも薄い精液がポタポタと零れ、『ルーク』も中へと飛沫を注ぐ。
「っく、これで、疼きも痺れも目が覚めた時には治ってるよ、ルーク」
頬を撫で、失神した自分に、甘く語りかける。
「ただ、お前は必ずまた俺を呼ぶんだぜ?」
知ってしまった悦楽にとりつかれて、新しい渇きが十中八九やってくる。
「楽しみだな、ルーク」
空っぽなら満たしてやる。
誰よりも、どの存在よりも、だから、必ず俺を呼べ。
その唇でその声で紡げよ、自分の名前を。
「ルーク、ね、助けて」
ルーク。
END
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