黄金の瞳に



紅き末裔。
忌み嫌われてきた、吸血鬼の一族の子孫。
この吸血鬼の対になる一族が聖なる焔。


「来る…」
「何がだ、アッシュ」
「わからん、ただ」









同胞の匂いがする。








「それでは、皆さんに転校生を紹介しましょう、ケテルブルグからきた、ルカ君ですよ」
「よろしく」

ぽーっと、外を見ていたルークをよそに転校生の紹介は進んで…。

「ルーク・フォン・ファブレ!!!」
「うぁ!はい!!!」
「人の話を聞いてますか?」
「な、何ですか、ジェイド先生」

はぁっと深い溜め息を吐いて、ジェイドはルークにもう一度、説明した。

「あ、ルークです、よろしく」
「…」
「あ、あの」
「アンタ俺のすっげぇ好み」
「へぁ?」
「よろしく、ルーク」

無理矢理ルークの手をとると、掌に口づけた。
ばっと振り返る周囲、真っ赤になるルーク。
その空気を破ったのは当たり前だが担任のジェイド。さっさと授業を始めますよと促した。

「ど、どうしてあんなことするんだよ!」
「どうしてって、俺がいた所じゃ当たり前だぜ?」
「だからって」

放課後すっかり仲良くなれたルークはルカと二人、家へと帰る。
どうやら、二人の家は近いらしい。

「言ったじゃんか、ルークってモロ俺好みだしそれに」
「それに?」

そっとルカの手が頬に触れると、同時に後ろに強く引っ張られた。

「それ以上、触らないでくれないか」
「が、ガイっ!!」
「ルークは妙な友達がいるんだな」
「ルカ?」

ふっと、ルカが笑うと目が、瞳が金色に近い色を帯る。

「やはり、貴様だったか」
「なんだ、てめぇもいたのかよ アッシュ」
「知り合い?」
「知り合いも何も、異母兄弟だからなこいつとは」
「っていうことは…ルカは吸血鬼なの?」

もっと驚くと思ったが意外にルークは冷静にガイに問う。

「ああ、だけどなルーク」
「俺は、サキュバスと吸血鬼のハーフなんだ、どっちかっつーと血よりも精液の方が好きなんだよ」

さらりと言ってのけたルカにルークは顔を真っ赤にさせ、ガイにしがみついた。

「ここにあの聖なる焔の血を受け継いだやつがいるっていうからどんなやつか見に来たんだ…そしたら」

チラリとルークを見てルカはニヤリと笑う。

「すっげぇ、俺の好みだったからさぁ」
「ぅ…」
「ルークはやらんぞ」
「いいのかよ、そんなこと言って…今のお前だったら楽勝だぜ?」

がっ!!!とアッシュの首をルカが掴む。

「ぐぁっ!」
「血、飲んでねぇだろ…そんなにそいつが大事?」
「る、せぇ…」
「アッシュ!!!や、止めて!ルカ、アッシュを放して」

ガイから放れ、ルークはルカに駆け寄る。

「いいけど、条件…精液ちょーだい」
「ぁ…」
「無理なら仕方ないなー、な、アッシュ」
「ぅぐ…」
「わかった、わかったから止めて、アッシュを放して」

ルカの腕にぎゅっとルークは自ら抱きついた。

「いいよ、放してやる」

にっこりと笑うと、そのまま、ガイに向かってアッシュを放り投げる。

「こ、のっ…」
「ダメ、アッシュ」

体勢を立て直し、跳びかかろうとするとルークがルカをかばうように立った。

「大丈夫、すぐ帰ってくるから」
「ルーク…」
「ちゃんと病院行くんだよ」
「誰が行くか…」
「ガイ、アッシュをお願い」
「わかった」

不本意だが、ルークに助けて貰う形になり、アッシュは唇を強く噛んだ。









「あーぁ、計画じゃ正体ばれるのもう少し後だったんだけど」

ルークが連れてこられたのは、家の近くの立派なマンションで。
面白くなさそうに、ぶすっと頬を膨らませたルカがルークを案内した。


「騙して、俺の欲しかったってこと?」
「違う…そうじゃない、普通に学校に通ってみたかっただけだよ…」
「どうして、居ればいいじゃんか」
「…お前さ、馬鹿だってよく言われるだろ」

図星をさされ、ルークは黙ってうなずいた。
話を聞いていると、ルカは絶対悪い人ではないようで。

「言ってる意味わかってる?」
「そこまで馬鹿じゃないよ…」
「だな、じゃないと、アッシュとかガイと一緒にいるわけねぇか」

さらっとルカの手がルークの髪に触れた。

「ぁ、」
「いただきます」
「ん、ぅ…」

感じるのは甘さ。
味覚的になにか甘いと感じさせられた。
不思議そうにしていると、ルカの瞳が悪戯っぽく笑ってルークを押し倒した。

「ん、んぅっ、んっはぁ…」
「っは、気に入ったみたいだな」
「んで、あまぃ?」
「苦いよりはいいだろ?夢中になるらしいぜ、大概は行為の甘さだと思うらしいけどな」
「そう、なんだ…」

唇に残るルカの唾液をペロリと舐める仕草は、インキュバスであるルカでさえいやらしいと感じるくらいだ。

「でも、俺のなんかよりお前の方がずっと甘い…」
「ぁ、ゃん!」

耳にちゅっとキスをして、甘く噛む。

「敏感…」
「る、か…」

服のボタンに手がかかると一つ一つ焦らすように外されていく。
二回目の口づけにさらに溢れた唾液も、露になっていく肌も全部自分のものでないみたいだった。

「はぁ、や、だ…ぁんん、」
「俺の楽しみ奪っちゃ、駄目だって…もっとわけわかんなくなるぐらい感じて…」

ルカの愛撫を拒もうとするルークの手をやんわりと押さえつけて唇を這わせる。

「アッ!やぁぅっ」
「濡れてる…ん、」

恍惚としたか表情でルーク自身を口に含む。

「そんなにっ!吸っちゃやぁ!はんぅっ」
「ん、はぁっ…すっげぇ、うめぇ」
「あぁっやだっ!でちゃうっでちゃうからぁっ」
「…口の中に出せよ、ルーク」

じゅるるっと音をたてて座れるとびくんと太股が跳ねた。


「ひっああぁあっ!」

口に放たれたものを一滴残さず飲み下すとルカは溜め息をつく。

「あ、はぁっ、」
「美味すぎ、いままで食ったことねぇ…」
「そんな、言い方しない、でっあぁ」

ゆっくりとルークのそこを擦るとくちゃくちゃと指は濡れていった。

「なぁ、ルーク…したい」
「ん、んぅ…」
「うんって言って、合意だとすっげぇ嬉しいから」

どこか淋しそうな表情をするルカ。
まるで母親に置いていかれた幼い子供みたいで。

「同じ目…」
「ルーク?」
「なんでもない、俺の中にきて、ルカ…」
「ルーク…」









それからのことをルークはあまりよく覚えてない。
ただただ、快感の波だけが自分を煽って。

「ぁっっあぁっ!やあぁ」
「ん、っく!」
「ふかぃっ深いよおぉっ」

シーツに沈むと手でたぐりよせて強く掴んだ。

「な、ルーク」
「なにぃっはっ!あぁ」
「これで血吸ったらどうなるっ?」
「ダメッダメェ!壊れ、こわれちゃうっ」

痛いと思われる吸血行動はまったく別。
吸血行動はキモチよすぎてルークは何度も失神させられたことは体がよく知っている。

「じゃあ、壊れてよ…一緒にさ」
「あ!っ、るかぁるかぁっ!やめ!ぃ、やあああぁっ!!!!!」

止めてと言う懇願も聞かず、首に噛みついて血をすする。
あまりの悦楽に悲鳴に近い声をあげ果てると、ルークは失神した。









「ルーク…」

できれば、自分の正体がばれないで、吸血鬼でも、インキュバスでもなく普通に接したかった。

「ごめんな」

ベットで眠るルークに、アッシュたちと対峙していた時とはまったく違う優しい声色で詫びる。

「…どうして、謝るの?」
「起きた?具合は?」
「いいわけないじゃん、血まで吸って、頭フラフラする」

口を尖らせ、ルークはルカの手を握った。

「悪かったって…」
「そう思うなら、明日きちんとアッシュたちに謝って…みんなで仲良くするの」
「…それは」
「出来なくないよ、大丈夫」

ルークはルカの頭優しく撫でるとぎゅーっと抱きしめる。

「ルーク…?」
「もう、淋しくないから、な?」


ルカの瞳から溢れた涙に、ルークさえも気づくことはなかった。



END



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