儚いものが儚いものを愛す理由



愛してしまった。
自分よりも、儚いものを。


「…ルークじゃないな」
「よう、確かに俺はお前の知ってるルークじゃねぇよ、ガイ」

何度か姿を表すのは、ルークの捨てた人格だという。

「今、あいつは優しい夢の中でぐっすりお寝んね中さ」
「そうか…お前はルークが」
「好きだよ、愛してる…いつもあいつが主人格なのか俺は不思議になるね」

風に吹かれたら消えてしまいそうなほど弱々しい主人格。

「でも、一度も無理矢理ルークの体をのっとったりしないんだな」
「あいつが喜ばないからしない、それに…一緒に消えるのは悪くねぇ」
「お前、自分が可哀想だとは思わないのか」

突然、そんなことを言い出したガイにルークは笑いだす。

「いーや…俺には居場所も存在意義もある、でもあいつはどうだ?
結末を分かっていても必死になってもがいている…あいつの方がよっぽど可哀想で儚い」

ルークの中は俺の居場所。
ルークを守ることが俺の存在意義。








愛してしまった自分よりも儚いもの。
いつまでも、いつまでも、最期まで俺が隣に、君の隣に俺がいるから。



END


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