朝一番に、あなたの匂いを
「テスト長かった…」
やっと終わった、先輩に会えるとルークはメールを打つ。
「…」
いつも通りの時間に駅の前で待ってますと送ると、数分後に返ってくる。
「ルカ先輩」
足りなくなって電話帳で呼んでかけると直ぐにルカは出てくれた。
「もしもし」
『ルーク?』
「あぁ、先輩だ」
『早く会いたい』
「俺も先輩に早く会いたいです」『何だ、同じこと考えてたんだ』
嬉しそうに小さく笑う声が聞こえて、ルークの心臓がとくんと跳ねる。
『ルーク』
「はい」
『やっぱり顔見て話そうかな』
「気になります!途中で止めないでください」
『不安にさせてごめんな』
「…っ!お、お兄ちゃんが言ったんですか!?」
『ん、まぁ』
今度は苦笑いが聞こえて、お兄ちゃん、先輩に何したんだろうと羞恥心で顔が熱くなる。
『テストで忙しいし、何より、俺はルークが好きで、ルークと付き合ってるから、こんなことわざわざ言って心配させるべきじゃないと思ってたんだけど…難しいな、本当にごめん』
「先輩…」
『それだけどうしても言いたかった』
「早く会いたい」
電話じゃなんて言っていいかわからない。きっと凄く傷ついた顔をしてるルカが目に浮かぶのに触れるのも叶わない。
『早く寝れば朝になるって』
「じゃあ、先輩に会いたいので早く寝ます」
『うん、おやすみ』
「おやすみなさい」
通話を切ると、ルークはベッドへ潜り込み携帯を充電器にセットする。
窓から入る秋風が、熱くなった顔に心地よくルークは目を閉じた。
END
朝一番に、あなたの匂いを
(五感全てを使って感じたい)
お題配布サイト:ポケットに拳銃さま
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