いたずらのさき




俺は近所に住んでいる兄ちゃんが大好きだった。
いつも沢山遊んでくれて、部屋にまであげて色んな本を読んでくれる。
朱色の髪は綺麗で、顔立ちもとても女性的だった。

「ルカちゃん、こんにちは」
「こんちは、ルーク兄ちゃん」

俺は女の子なんかじゃないからちゃん付けなんて嫌だったが、なんとなくこの人に呼ばれるのは仕方ないと思った。

「もう、六年生だっけ?随分大きくなったね」
「まぁね」
「今日は部活お休み?なんならお家にくる」

あの時の俺にはさっぱりわからなかったが、今ならわかる。
あれが、きっと甘い笑みなんだって。

「今日は何して遊んでくれんの?」
「今日は、いつもと違う遊びをしようか」
「うん、どんなの?」
「すごく楽しくて、すごく気持ちのいいことだよ」

その言い方に一瞬、ゾクリと変な感じがしたけど、俺は黙って手を引かれて行ったのだ。

「これは俺と、ルカちゃんだけの秘密だよ」

そう言うと、兄ちゃんは俺をソファに座らせると、ニッコリと笑ってズボンに手をかける。
びっくりして、逃げようと思ったけど気づいた兄ちゃんが唇を合わせてきた。

「兄ちゃん!」
「大丈夫、何にも怖くないから、ね?」

するとあっという間に、下着の中のソレが口に入っていってしまう。

「あっ!」

それが、フェラだなんて、精通もまだだった俺にわかるわけなかった。
ただその感触が気持ち悪いのに気持ち良くて、必死にルーク兄ちゃんの肩に捕まっていた。

「ここ、ぬるぬる…初めてだよね、ルカちゃん?」
「こんなっ、しらな」
「いいよ、くちにだして、にいちゃんのくちにだしてぇ」
「あ、あぁっ!つぁっ!」

初めての精通。
それと、初めてのフェラの感触。
ただ、そのあと俺は兄ちゃんから逃げるようになり、いつの間にか兄ちゃんも引っ越していた。




***********






五年後。

「ルカって本当、口でしろって言うよねー」
「いいから早くしろよ」
「はいはい」

高校になっても俺は、あの出来事をずっと引きずっている。
トラウマなんかじゃない、いや、いい意味でトラウマなのかもしれない。

(あの時の)

あの、口でされた感触が忘れられない。

(違う、こんなのじゃない)
「る、か…?なにまだ途中」
「いい、冷めた」

それだけ言うとルカは屋上から教室へと戻る。
特定の彼女など、こんなでできるわけもない。
ただ、容姿のおかげか不自由したことはなかった。


「教育実習生来るんだってよ」
「あ?」
「お前、学年朝礼ふけたから知らねーんだな、うちのクラス実習生来るんだってよ」
「へー、綺麗な女だった?」
「ばっか、残念だったな、男だった」
「なんだよ、つまんねーな」

通りでクラスの女子が盛り上がってるわけだ。
おもしろくねーと肘をついて窓いっぱいの青空を見つめていると、予鈴とともにがらがらと戸が開く。

「ほら、席につけよ、先生の紹介するからな」

担任のガイの声に、噂の教育実習生かとルカは目を向けた。

「自己紹介して」
「はい、ルーク・フォン・ファブレです、二週間よろしくお願いします」

同性、同名…声も、見た目も、そっくりだった。

直感だったけど、わかった、間違いない。

「さ、一人ずつじゃあ自己紹介な」

俺はずっと、その姿を見つめていた。
追い求めてた人が目の前にいる。

「おい、ルカの番だぜ」
「…ルカ・ジュエです、間違いじゃなきゃ昔、ファブレ先生の家の近くに住んでました、またよろしくお願いします」

教室が若干ざわめいた。
一瞬、驚いたようなきょとんとした顔していたが、ルーク兄ちゃん、いや、ファブレ先生は直ぐに、「久しぶり、またよろしく」と微笑んだ。

「やーん、ルーク先生ってこの近くに住んでたんですか?」
「うん、大学がちょっと遠くなったから一人暮らしの為に引っ越したけどね、住んでたよ」

複数の女子に囲まれて、本人に近寄ることは出来なかったが、行動しなければ始まらない。
すれ違い様にスーツのポケットへとメモ紙を入れてやるとルカは屋上へと向かった。
来るかは、本人次第だ。

「…」

一人笑みを浮かべると、扉の開く音にルカは振り返った。

「こんにちは、ファブレ先生、いや、ルーク兄ちゃん」
「…久しぶり、ルカちゃん」

昔の愛称で呼べば一気に懐かしくなってルカはルークとの距離を縮めていく。

「まさか、アンタが実習生として来るなんて思いもよらなかったよ」
「俺、もだよ」
「いたいけな小学生だった俺にあんな発情したアンタがよく、教鞭なんてとろうなんて思ったな」
「…」
「あれ、忘れちゃったかな、お兄ちゃん?」

ずいっと近くまで寄ると、唇がつきそうな程ルカは、ルークの唇へ顔を近づけた。

「忘れてなんか、ない、よ」
「そっか、よかった…忘れてたらどうしようかと思ったぜ…」
「ぁ…」

酷く、悲しそうな顔からルカはにやりと笑う。

「あの感じずっと忘れらんねーだよ…あんたの舌と唇の感触、口ん中の温度…なぁ、せんせー…してくれよ、あん時みたいに俺のしゃぶってよ」
「ルカちゃん…」
「なに、せんせー」
「先生なんて呼ばないで、名前で呼んで」

ルークはゆっくりと、指先をルカの制服のズボンに走らせ、そこを柔らかく揉んだり押したりした。

「淫乱な教育実習生のルークお兄ちゃん?」
「呼び捨てでいいからっ」
「ルーク」
「ん…、ルカちゃん」

ジッパーをおろすとルークはルカのものを昔、したように口と手で愛撫し始めた。

(あぁ、この口だ)

温度も、感触も、昔と変わらない。
舌がゆっくりと絡んできて俺のが口の中を出たり入ったりして。

「いいぜ、もっと」

命令すればルークはジュブジュブという音をたてて、懸命にフェラをした。

「んっ!ふっ!んんっ!!」
「っ飲めよ、全部」
「んー、っ!ん、ぅ」
「っ!」

こくこくと喉が上下するのがわかった。
俺のものにも微弱な刺激が伝わってきもちいい。

「っはぁ…はぁ」
「あんたのせいでこの口じゃねぇとイケねーよ」
「んっ…るか、ちゃ」

半ば無理矢理口づけ、スーツを乱していく。
このまま犯してやろう。
泣いても、叫んでも、俺と同じように忘れられないように、記憶に焼きつけて。

「んぁっ!あぁっ!」
「生徒に襲われて喜んでるなんてな」
「あ、ぅ、違うっ」
「どこが?こんなにカチカチにさせてさ気持ちよくないわなけないっしょ」
「んぅっ!るかちゃ、やうぅっ!」

先端を弄れば、唇を噛んで背を反らす。
ぐちゅぐちゅと音がして、ルークの太ももがビクンッと痙攣するとルカの手のひらに白濁が溢れた。

「ん、はっ、ぁあぁっ」
「昔からこういう気があったわけ?平気で男のものくわえたり、ケツの穴弄られて喘いでさ」
「…っ、ぁ」
「これ、いいのかよ」
「やあぁっ!」

ぐるりとそこで指を回すと、ルークは喜んで喘いだ。

「気分いいな…」
「るか、ちゃん?」
「あんたも、こんな気分だったのかよ」
「…すき、だったよ…昔から」

はくはくと息を吐きながらルークは、ルカの頬を両手で包んで小さく笑った。

「でも中学に行ったら、君は前のように俺を慕ってくれなくなる…」
「どういう意味」
「きっと好きな女の子ができて、もっと沢山友達ができて、君は俺の存在を忘れてしまう…だったら、嫌われるようなことをして君が近寄らないようになった方がいいって…そう思ったんだ」

本当に、ただお兄ちゃんと慕ってくるルカがルークには可愛かった。
けれど、大きくなるに連れて、ルカは自分の手から離れていく。

「ようやくわかったんだ、それは愛とか恋とかそういう類いだって…ますます、君から離れなきゃってそう思った」
「それであんなことしたのかよ」
「…うん、言葉で傷つけるのも体に怪我をさせるのも嫌だったから」

小さく自嘲気味に笑ってルークはごめんねと呟いた。

「俺は、あの後確かにあんたの所には行かなくなった…けど、朝は毎日駅のとこ通ったよ」
「ぇ…」
「毎朝遠くからでもいいから顔見たかったから、近所に住んでた大好きな兄ちゃんの」
「ルカちゃん…」
「あんなことされたのに、最後に別れるときのあの顔が忘れられなくてさ…ずっと会いたかった」

好きだ。
後はそれだけ言うと、ルカはルークにもう一度口付ける。

「ぁ…」
「もし、こんな風に言えなかったら俺はアンタをもっと傷つけてた」
「…して、ルカちゃん…ここでいいもっと、して」
「兄ちゃん…いや、ルーク」
「ん…あっ」

随分濡れて柔らかくなった中にルカはゆっくりと自分のものあてると、入れていく。

「ふっんんっ!おっきぃっ」
「あれから何年経ってると思ってんのっ」
「ぁう、ん!!ほんとだねっあぁっ!!」

屋上の扉にルークを押しつけて、前立腺を先端で突き上げながらルカは力強く動いた。

「だめっだめぇ!るかちゃ、るかちゃあっ!!」
「っ気持ちいいんだろっ!」
「だから、だめなのぉっ!」
「俺も気持ちいい、もっと締めつけてっ」
「あんっ!あっ!あっ!」
「ルーク、ルークっ」
「ひぃっ!ああぁっ!あんっあっ!!!」

口の端から飲みきれなかった唾液がつぅっと伝って、ポタポタとコンクリートに染みを作る。

「ひぃんっ!もっだめっだめぇえ!るかちゃんっぁっあ、ひっあぁあっ!」
「っ、ん」

きゅうっと中がさっきよりも酷く動いて締めつけてきて、ルカもゆっくりと白濁を中に吐き出した。

「ホントに偶然だった、あのクラスにルカちゃんがいたの、もう忘れられてると思ったから」
「それどころか今まで忘れられなかったわけ…」

ルカは、ルークを優しく抱きしめてゆっくりとおねだりするように耳に口を寄せた。

「また、家に遊びに行ってもいい、ルークお兄ちゃん?」
「遊びにきて…ね、そうしたら何して遊ぼうか、ルカちゃん」
「決まってるじゃん、すごく楽しくて、すごく気持ちのいいこと、だろ」


ウィンクをすると、ルカはにっこりと笑って同じく笑っているルークにキスをした。



END








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