ローレライの目





「んー」

目を擦るルカにルークは首を傾げる。

「どうしたの、ルカちゃん」
「や、この間からどうも」

片目の見えかたがおかしい。

「どんな感じ?」
「こう、くっきり見える中にぼやぼやしたものがあるっていうか」
「お医者様に行った?」
「なんともないって」

ぼやぼやしたものが混じる目を、眼帯で塞ぐのが必須になってきてどうにも不便だ。

「ルーク」
「うわっ!びっくりした」
「アッシュ、どうしたの?」
「彼はローレライ加護を受けた眷属らしいな」

また突然の登場にルカは驚いて身を引き、アッシュはほぼ無視でルークに問えば、彼は呑気に頷いた。

「そうだよ、ルカちゃんはローレライの…あ、もしかして、目の調子悪いのそのせいかなぁ」
「調子悪いのか?」
「なんか、はっきりした景色の中にぼやぼやしたものがあるんだって」
「チャンネルがあってきて見え始めたな」

ルカがぼーっとその話を聞いていると、ルークが急に手を握ってきた。

「でも、どうしてアッシュがわざわざ、あっちから来たの?」
「彼がローレライの眷属ならばあっちの方が彼には適してる」
「なぁ、盛り上がってるのいいけど、そのローレライのなんとかって何?」
「ローレライっていうのは、炎、水、風、大地、光、闇を総括する存在だ」
「へぇ、そいつはすげぇな」
「人の根本とか妖精、精霊が実体化できるのもローレライのおかげなの」
「つまり、俺は神様レベルってことか?」
「そうだよ、ルカちゃんは偉いんだよー!」

ルークがにぱっといつものように笑いルカにぎゅうぎゅうと抱きついた。

「お前のその目があれば、この世の理をすべて操れる、今では開眼して無かったからいい、しかし開きかけてるのが問題だ」
「でも悪い、俺はルークの傍を離れるつもりはないし、そっちには行けない。」
「命に関わってもか」
「あぁ、こいつの隣が俺の居場所、それ以上もそれ以下もない」
「相当の馬鹿だな」
「まぁな」
「気をつけろ、いいな」
「任せてよ!俺がしっかりルカちゃんを守るから!」

任せて、任せてと繰り返し言うルークにルカもアッシュも小さく笑った。

「俺は一応、忠告したぞ」
「あぁ、ありがとう、悪いな」

アッシュはそれから、来たときと同じようにすっと消えていった。

「ルカちゃん」
「んー?」
「怖い?」
「少し」
「大丈夫、ルークが傍にいるよ、絶対に離れないから…顔、見せて」

そっとルカの眼帯を外すと、ルークは頬を撫でる。

「ルカちゃん、カッコいい」
「ルーク」
「ふふふ、なぁに?」
「キス、していい?」
「むぅ、キスだけ?」
「じゃあ、もっと先も」

ルカは恐る恐る、片方の目を開ける。
両目で見る世界に広がるのは、大好きなルークの笑顔。
安心してキスをすると、そのままズルズルと静かに二人でソファに沈んでいった。



END








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