はぐれない方法






『ルーク!夏祭りはスリとか引ったくりにはくれぐれも気をつ「お兄ちゃん、うるさい!」

三度無視したが、流石に四度目にはルークも盛大にぶちギレて通話を切った。

「相変わらずだな、アッシュは」
「すみません、先輩」
「いんや大丈夫だよ、それより浴衣似合ってる…ほら、ルーク」

差し出された手にルークは嬉しそうに笑うが、次にぶんぶんと首をふって大丈夫ですと答える。

「そうか?」
「はいっ」

流石にこんなに人のいる場所じゃ、先輩に迷惑だと巾着を掴んで我慢した。

「花火の時間まで遊ぶか」
「先輩、射的!勝負しましょう」
「いいぜ、ただ勝負するんじゃ面白くないよな」
「んー、じゃあ勝った方のいうことを聞きましょう」
「オッケー、俺、悪いけどこれ得意だから」

容赦のない笑みを浮かべたルカに、ルークは一瞬怯む。

「お、俺だって負けませんからっ!」

タンカを切ったのにルークの取れた景品は三つだけ。
ルカと言えば、最初の一発を外しただけで後は全て当ててしまった。

「むぅ」
「だから得意だって言ったじゃん」
「ルカ先輩、それでお願い事の方は?」
「はい」

そうして、祭りの入り口に来た時の様に手を差し出した。

「手、繋いで花火見て」
「はい」
「俺の部屋に帰る」
「えっ」
「今日は帰さない」
「そんなことでいいんですか?」
「誰かさんが、周り気にして手繋いでくれないからな、ちょうどよかった」
「ルカ、先輩」
「迷子になって離れた分だけ時間の無駄になっちまうだろ」

真剣に言ったルカにルークは真っ赤になる。

「せせ、先輩、お願いです!ちょっとだけ手放してくださいっ」
「ははは、やだ」
「せんぱーい、お願いです、恥ずかしいから」
「誰も気にしてないって、ほら」

ちゅっとこめかみにキスを贈ればルークはさっきよりも、もっと顔を赤くした。

「うー」
「ほら、行くぞ…わたあめ買ってやるから」
「…イチゴ飴も」
「いいよ、買ってやる」

指をしっかりと絡めてがっちり握られた手は最後まで離れなかった。



END




お題配布元 確かに恋だった








[*prev] [next#]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -