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「お帰り」
「ん、だ、れ?」

その言葉に俺は絶望しなかった。
すべて承知の上。
きっとこいつならそうしてくると思ったからだ。

「俺はルカ…お前はルーク」
「俺、ルーク?」
「そう、いい名前だろ…俺と同じスペルだ」
「うん」

するりとルークはルカに寄り添う。

「ルカくん、好き」
「可愛いヤツ、俺も好きだぜ…お前のこと、誰にも負けねぇ俺の隣はお前だけのものだ」

多分、ルークの『好き』は違うものなんだろう。
でも、俺にとってはそうじゃない。

「ぁ、何?ルカく、んっぅ…!」

俺は覚えてる。
ルークを心の底から欲しいっていう気持ちを。
不思議とルークは記憶がないはずなのに、言動といい行動といい、何一つ変わってない。
コイツ、実は覚えているんじゃないかって錯覚しそうになるくらいだ。

「もう、お前は俺のものだ」
「あっ…」

何度もその唇を奪えば、すがるように真っ赤になって震える。

「放さねぇ」

左手の薬指に強く強く吸い付く。
たちまち赤紫の花びらが咲いてルークの心をがんじがらめに縛っていった。

「ルカくん」
「ん?」
「ルークも、俺も、ほしい」
「そうか、ならくれてやるよ」

囁く声は甘く、ひたすら優しく。

「ンっふ…ぁふっ…」

影が二つ重なると一つになって倒れていった。









新しい薔薇が咲く。
赤い、赤い、二本の薔薇。寄り添って一つになりそうなくらいの薔薇。








ルークとルカが口づけるその薔薇の館で。








終焉










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