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「兄様」
「来たか…」
「よぅ、」
「挨拶はいらないな…ルーク、傷つけないように捕獲しろ」
「はい…」

スッと、二人のルークは一歩前にでる。

「久しぶり」
「あぁ…なぁ、ルーク もう一度聞くけど俺の隣に戻って来ないか」

愛しそうに目を細める。
差し出された手をとれたらどんなに幸福だろうとルークは思う。
大好きなルカの手。

(もう一回だけ、愛されたかったな)

そう、考えながらルークはルカの誘いに首を振る。

「そうかよ、じゃあ いいんだな」
「うん」

指揮者の様にルークの右手が動く。
すかさず、横に逸れてルカは駆け出した。
ルークの武器の難点は、見きられ、深く入り込まれると対応出来ないこと。

「くっ」
「遅い、!!」

抜刀された長刀がルークを霞め腕から血が垂れる。

「ん、ぐ…」
「どうしたんだよ、こんなもんじゃないだろ、ルーク」
「どうかな、ルカくん」

重いルークの足取りにルカは眉をひそめて注意深く辺りを探る。

「動かないで、こんな簡単な手にひっかからないでよ」
「油断した…」

意識を反らされた瞬間、得意の糸が飛んできてルカの手首と足に絡みつき、一本が頬の薄皮を切った。
腕を切られたせいで目測を誤ったのだろう。
赤い道筋が出来ると、ルークは悲しく瞳を揺らしてアッシュを振り向いた。

「る、」

サイレンサーのついた銃から、放たれた弾丸はルークの胸を撃ち抜いた。
撃ち抜かれたルークの体は地面に簡単に倒れる。

「ってめええぇ!!何してんだ!!!」

弛くなった糸。
ルカはアッシュの行為に目を見張りルークを抱き上げる。

「ルーク!ルーク!!」
「ね、おれは、しぬん、だって言ったじゃ、ん」
「ルーク…」
「傷つけないようにしろと言っただろう、これは罰だ」

さも、当然と言わんばかりにアッシュは笑う。

「ごめ、ん、ルカ、く」
「ルーク、ルーク!」
「こ、で ルカ、く、んはじ、ゆ、」
「ルーク!置いて逝くなよ!!」
「…、して、る、よ…だ、す、き」

血に濡れた手が、指が、そっとルカの頬を撫でて地べたに力なく落ちた。












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