17




KINGはいつも孤独だ。
盤上に一つ、命を取られるまでKINGが盤上を降りることは…決してない。


「何をしていた」
「ごめんなさい、兄様…猫にじゃれられて…」
「傷はつけなかっただろうな…」
「全ては兄様の言いつけ通りきちんと守りました」

ルークのレプリカの瞳が俺を射ぬく。
色も感情もない瞳だ。
それを揺らぐのを見るのもまた一興で、アッシュは自分の髪を掬うと口づける。

「触れたいか?あいつと同じ髪だぞ?」
「…」
「なぜ、何も言わない…お前があれだけ愛しいと思っている男と同じだと言っている」

ぴくりとルークは動かない。

「アナタとルカくんは同じじゃない、別人だ」
「言うな、レプリカ…帰りたいか?」
「いいえ、帰りません…俺はアナタの駒ですから」
「一つ問おう…お前はなぜ逃げない」

セクサロイド、レプリカとして愛すとはしても決して自身としては愛されないのに。

「兄様が独りだからです」
「俺を愚弄してるのか?」
「違います、兄様は独り、俺も独り、合わせたら二人…兄様は平気かもしれないけれど俺はレプリカだからいつでも愛されていたい…だったらどんな形でも必要としてくれる人の傍にいたい、それだけです」

アッシュには、ルカとは違った愛しさを感じている。
きっと、本当のルークの心がアッシュのことが大好きだからだろう。

「言うな、ルーク…」
「…」
「行くぞ」
「はい…」

行く先は、ファブレ邸。

(父上母上…今、参りますよ)


KINGが、ROOKを連れ自ら盤上を動き出す、また、一歩、また、一歩。
終局を迎え、勝利の血に酔うその時のために。











[*prev] [next#]






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -