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「なぁ、ルーク、教えてくれよ…なんで俺の傍にいてあいつを殺そうとしないんだ」
「それは、可能性はいくらでもあった方がいいから」
静かにルークは口を開く。
「それに俺は、偽物なんだよ、レプリカなんだ…本物は、ルカくん、…ううん、ルークくんは君なんだから」
「違う!!俺は…」
「もう、知ってるんでしょ、受け止めてルカくん」
母親のようにルークはルカを諭す、触るなと先程言われたが頭を優しく撫でて、小さい子にするように。
「俺はあいつの弟なんかじゃない!!!」
全身で拒絶を表し、ルカはベットを叩いた。
「ルカくん、君は正真正銘、アッシュ・フォン・ファブレの弟…兄様がルカくんでなくて俺を連れていったのは、君を傷つけたくないから、ただの駒が欲しかったからなんだよ」
「ルーク…」
「君には、ここの記憶が教えてくれてるはずだよ…俺とは違う、もっと鮮明な映像が」
ふっとルークは笑みを浮かべ、ルカの額を軽くつついた。
「俺はただの殺戮人形、使い捨ての駒、…」
その時、ルークの服のポケットで無機質な電子音がなり響く。
「行かなくちゃ、」
「ルーク、嫌いだなんて嘘だから戻って来いよ…」
「ダメ」
「なんで…」
「俺が死ぬことは決まってることだから」
ふっと笑うとルークは立ち上がってルカのに口づけた。
「さようなら、ルカくん」
ほら、早く次の一手を打たないと時間だけが過ぎていく。
俺はチェスの駒、KINGを守る、ROOK。
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