15



運命の、チェス。
ルージュとノワール。
俺は…。







「ぁっ」
「よぅ、お嬢さん」

ぐいっと後ろから首に腕を回されルークは思わずそこを押さえる。

「ぅ、ぁ…」
「抵抗したら首、絞まるぜ?」
「る、かく…」
「昼間に襲われる危険は教えなかったか?」
「くる、し、よ…」
「丸腰みたいだな」

ぺたぺたとルカの手が体を這う。

「ナイフ一つしかない」
「お前な、敵にホントのこと言ってどうすんだ、馬鹿」

腕を緩めて、ルカはルークの首に顔を埋めた。

「ルカくんだって、敵にこんなに甘えて駄目じゃん」
「時間、あるか」
「うん、今は一人…少し話す?」
「ああ…そうしたい」
「じゃあ、行こう」

たどり着いた先は、廃墟ビル。
もともと、ホテルだったそこにはまだベットやイスがそのままになっていた。

「あの、ルカくん…」
「今だけは敵同士、止めないか」
「うん」

ちょいちょいと手招きするルカに寄り添いぴったりとルークがくっつく、懐かしい感じだ。

「なんで約束破ったんだよ」
「破ってないよ…俺の"心臓"はいつでもルカくんと一緒だから」
「俺のことが一番好きって本当?」
「うん、一番愛してる…だから、ルカくんに嫌われても敵にならなきゃいけないの」

頬を軽く動かして、ルカの鼓動を聴く。

「馬鹿…お前を嫌えるわけない、だって俺たちは」
「うん、俺たちは二人で一つなんだから」
「そうでなくても俺はお前を愛せるぜ?」
「もちろん、ルカくん」

こんな温かで幸せな時間が来るなんて再びくるなんて思わなかった。
騎士が剣を下ろしていい時もあるよね。

「ルーク」
「何?」
「体、繋げることが一番良いと思ってたんだけど違うんだな…こうやって抱きしめれるって幸せだ」
「ルカくん…」
「ルーク、おい…ここどうしたんだ」

青紫に変色したそこ。

「ぁ、!」

パシッと首を押さえる。
途端、ルカの顔色が変わる。

「やっやだぁ!ルカくん!?やめてぇ!やめてっ」

ルークが抵抗する間もなく早急に脱がされて、露になる胸。

「…」
「ひっふ、や、だ、見ない、で…っ、見ない、で」

全身にある、その痕。

「…殺してやる」
「ルカくんっ!?」
「俺に触るな…」
「っ、ごめん、なさい」
「謝るなよ、ルーク…嫌われる覚悟出来てるんだろ?」
「…っん…でも、お願いします、今は殺さないでください」

もう枯れたと思っていたのに涙がまた溢れてくる。













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