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『放せっっ!ルーク!!』
『兄様っ!!にぃさまあぁあぁ!!!』
『ルーク!!!!』

あれを期に、俺は全てを閉ざした。
父親が憎かった、母親が憎かった。
双子でいて何がいけなかったんだ、俺に起こる不幸を何故ルークのせいにするんだ。
何より大切なたった一人の片割れなのに。
家族を省みず、家族愛のない父が憎かった。
虚弱で父親に意見できない母が憎かった。

そして何より、ルークを守れない俺自身が憎かった。


「アッシュ、にぃさま 苦しいよ」
「すまない」
「泣かないで、ルークは平気…兄様は何がそんなに悲しいの?」

今にも泣きそうなアッシュの顔がルークの胸を刺す。

「移植手術を受ける前にお前と引き離されたことを思い出したんだ、本当にすまない、ルーク」
「泣かないで、兄様、ルークはここにいます、貴方の側にいますから」
「本当の俺とお前の居場所を必ず作る…」

頬を撫でるとルークはそっと目を閉じる。
これはもう条件反射に近い。

「ん、ん…」

ふるっとルークの睫毛が揺れた。
開拓したルークの体は従順で刺激を求めているのがすぐ解る。
少し、開いた瞳が困ったようにアッシュにすがってきた。

「ン、はぁっ、はぁ…」
「ルーク」
「やぁ、だめっ、だめぇ」
「お前だけイカせてやる」
「んぁ!ほしく、なっちゃうからぁ、だ、め…」
「その時は、その時だ」





ルークの白い体が一定のリズムで揺れる。
細く、高い甘い声がとびかい、濡れた髪は頬に張り付き目元は淡い桃色に染まっていった。

「も、アァッ!はっあっ!」
「っく、ルーク、ルーク」
「んあぁっ!!奥、ぉくっ」

足を抱えて自身を奥の奥まで突き入れると悶え鳴いてルークは背を反らす。
自然と腰が揺れて、アッシュを誘い、誘われるまま二人とも溺れていく。

「ンッンッ!ひ、っああぁっ!!!」
「っ、…」

結局、その時はその時になってしまいルークは堪らない声をあげて果てた。

「にいさま」
「一眠りしたら仕事だルーク」
「はい、ついていきます…」

自分の今の体は憎悪とルークへの愛で満ちていて。
一つだけ言えるのは、この『意志』は決してフランシス・ダアトには関係のないこと。
自分の心臓移植は明らかに違法だ。
権力と金にものを言わせたこの命なんて…。


「どうなっても構わない」









その日、堕天使の唄を聴いた。
偽りの愛。虚無の鎖。
天使は赤黒い羽を広げ甲高い声で旋律をつむいだ。












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