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「死刑だ」
「どういうことだ、これは!」
「死刑だよ」
「貴方こそ!!」

ヘドが出る。
苛々してきてルカは肩に一撃、刀をふりおろす。

「ぎやあぁあぁ!」
「ぐだぐだ、うるせぇよ…喧嘩なら死んでからにしろ」
「ぐごっぉ」

喉をルカの刀が通る。

「あぁ、これじゃあ喋れねえな」

歪む、ルカの顔。
血の気が引いた妻の顔。
すべった、ルークの指。

「よかったな、奥さん アンタは綺麗に死ねる」

女が問う間もなく、首は高く舞い、鈍い音とともに床に転がった。

「帰ろう、ルーク」
「うん、ルカくん」

途端、テーブルにあったろうそくが消えた。
暗くなる、部屋。
広がる、闇。
背中合わせになり、ルカとルークは辺りを伺う。

「見せてもらった」

パチパチと、手を叩く音。

「誰だ」
「誰だっていい、お前には用はない…」
「っ!?」
「…愛してる、ルーク」

脳髄がとろけそうになる程甘い声が耳元でそう囁いた。

「くっ!!」

ガシャンと窓を破る音。

「、いなくなった」
「早く、ここから帰るぞ 今の音で周りが気づいたかもしれない」

確かに、ピアノ線を動かしたのに、手応えはまったくなかった。

(誰、なの…)

ルークはルカに手を引かれなすがまま。
途端、意識が遠のく。

(駄目、駄目だ…るかく、ん…)








ざぁあぁっ―。
がががが、ザザザ―…。

まるで、テレビの砂嵐だ。白と黒の、砂嵐。
たまに写りこむ、不鮮明な映像。

『あ い し て る る ー く』

「いっやああああぁああぁ!」
「ルーク!!!」
「るか、く…るかくん…」
「大丈夫か、」
「う、うん、怖い夢、見ただけ」

カタカタと体が震えた。

「まだ、休んでていいぞ」
「お仕事、しなくちゃ…大丈夫」
「ルーク、お客さん来るよ」
「うん、今行く」
「ルカ、ガイが呼んでた」
「あぁ」

放すなと、体は叫ぶ。
けれど、ルカにはどうしようもなかった。
ルークが、振り返ることが一度も、なかったから。










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