仰ぎ見る宵月


記憶のなかの君はいま
不条理を抱く影法師
世界の裏側に生きる
何もできない僕がいる
心を晒す星月夜
金糸雀の鳴く午後
好きって言ったのは
震える指で愛綴る
完璧なる矛盾愛
君を夢見る白昼夢




混沌に浮かぶ煌めき
端から端まで僕のもの
招かれざる春疾風
青に染まる太陽を背に
曖昧な世界に身を置く理由
欲しいのは飾らない言葉
重なる面影がよぎる
名残惜しいだなんて嘘
行き違う僕らに終止符を
特等席という名の束縛




溢れ出す感情に蓋をして
行き着く先が地獄でも
祈り唄に乗せて
君の居ない世界でひとり
漂うは別れの匂い
仰ぎ見る宵月
嘆かずには生きられない
過去を振り切るためならば
きっと愛ではなかった
劣化する残像