本日も晴天なり。このような気持ちのよい天気にしみったれた職員室にいるなどやっていられないので坂田銀八は外に出ていた。
いや、違うからね、二〜四限目に俺の授業がないからだからね。サボってるわけじゃないからね。ちょっと外の空気を吸ってるだけだからね。
などと長い長い言い訳をかましているうち、銀八は道の先に見知った傘を見つけた。
──あれは確か夜兎工の……。
そこまで考えて銀八は踵を返して脱兎した。夜兎も一目を置く脱兎であった。
冗談じゃねェ! 夜兎工のクソガキ共と鉢合わせたら穏やかな天気も土砂降りになるわ! だから傘持ってんだろアイツら絶対そうだろ!
走っていた銀八は「あれ?」と思いとどまる。そういえば、ヤツの隣になんかひらひらと揺れるものがあったような……。
息を荒げたまま振り返り、既に遠くなっているであろう夜兎工の学生にもう一度と目を凝らすと。
「あり? センセーか」
「ウワアアァァァ!!」
近くにいた! 予想以上に近くにいた! 振り返ればヤツがそこにいた!
突如として間近に現れた神威に銀八は泡を吹いて背を反らした。夜兎工の中でも関わってはいけない男No.1である。顔を合わせれば「俺と闘ろうよ」とアクション小説にしてくる男なのだ、ゲロ甘3Z設定を進めたい銀八としては御免被りたい出会いであった。
「無理無理無理無理無理だから! 俺この後授業だから! つーかお前も学校だろ! この世界では学生なんだからちゃんと授業受けろよハゲにチクんぞ!」
「何言ってるの? 一人で元気なセンセーだネ。頭に響くからやめてくれる?」
「えっ……」
恥ずかしくなるほどの冷静さで返してきた神威に、銀八は素直に恥ずかしくなって口を噤んだ。勝手に期待してたみたいになってしまった。
しかし、珍しい神威の物言いに銀八は一拍置いて首を傾げる。闘らないの? いや、闘りたいわけじゃ決してねーけど、頭どうしたの?
訝しむ銀八の意図が伝わってるのかいないのか、神威はふと体を退けた。そこで初めて彼が誰かと手を繋いでいることに気づく。女子の制服のスカートも見えた。先ほど揺れていたものはこれかと納得する。傘で彼女の顔は見えなかったが、ハハーンと銀八は顎を擦った。
なになになに、デートってわけ? フーン、あの夜兎工の番長様も人並みに男ってわけだ。授業サボってデートとか青春してんじゃん。一丁前に手なんか繋いじまって、コイツもそういう可愛い所あったんだねェ。
ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべた銀八は、好奇心が沸いたので神威の傘の中を覗き込み彼女の顔を見た。そして「え」と固まる。広崎であった。
いや、確かに、広崎と神威が知り合いだってのは諸系場で知っている。けれども顔が良くない。広崎がブスと言っているわけではない。彼女の顔が真っ赤で肩で息をし今にも倒れそうな様子だったのだ。これは確実に良くない。
「……えーと、広崎? どしたの真っ赤になってフラフラで……」
「発情しちゃったみたい」
「ンなわけねーだろーがッ! 完全に熱出てんだろコレ!」
「うん、俺に熱上げちゃったんだネ。まいったな」
「ちげーよそっちの熱じゃねーよ!! 風邪だっつってんの! バカは風邪引いたこともねーからわかんねェだろうけどな……!」
「わかってるよ。透里の頭に響くからやめてって言ってるだろ」
「ングッ」
彼女の手を離した神威の手が銀八の口を掴むように覆った。慌てて銀八がブンブンと首が千切れるほどに勢いよく頷くと、ようやく放される。死ぬかと思った。
頭に響くって広崎のことかよ。最初から風邪とわかってるならツッコミをさせるんじゃねーよ。銀八は思ったが、口が消されても困るので言わなかった。
神威の手が離れたことにより、支えを失ったのか広崎はヨロヨロと身体をふらつかせた。「おっとっと」瞬時に神威が彼女の背を支える。甲斐甲斐しいその様子に銀八はしばらく呆然としていた。
「……どうしたわけ、ソイツ。まさか拉致したわけでもねェだろ」
「病院に入ろうとしてたから違うヨーって捕まえたんだ。熱で朦朧としてるみたいでさ」
「拉致じゃねーか。いいんだよ病院で。違くねーんだよ」
「病院に行っても食って寝てれば治るって言われるだけだろ。そんなの俺だってわかる」
「お前とハゲ親父はそれで治るかもしれねーけど、広崎は違うんじゃねーの」
神威の貼りつけていた笑顔がスッと消えた。一瞬背筋が凍った銀八だが、すぐににんまり顔に戻った神威が「大丈夫だヨ」とあっけらかんとして続ける。
「透里、赤くなりやすい性質だから。そこまで熱は高くないさ。ネ?」
「う、うう……」
つんつんと神威が広崎の頬を軽く突くと、小さな呻き声を上げながら彼女はフラッと地面に倒れ込んだ。一瞬のことであった。
しん……と辺りが静まる。少しして神威が彼女の顔を覗き込むように膝をついた。
壊れ物を扱うように神威は手を伸ばしたが、それは彼女に触れることなく止まる。
「……透里」
発した声は息となって消えた。
「オイィィィ!! デジャブだよ! 諸系場の繰り返しすんな!! 広崎大丈夫か!?」
慌てて銀八が広崎の腕を掴み、自身の肩に回して身体を起こした。密着するとますます身体の熱が異常に高いことがわかる。一度倒れて力が入らなくなったのか、膝も笑っているようだ。
銀八も久しく風邪を引いていないし、周りもそのような人間ばかりなので看病の仕方など記憶の彼方である。とはいえ、彼女のこの調子では食べて寝るだけでは心許ないことはわかった。
「これだけ高熱ならインフルエンザかもしれねーし、やっぱり病院に行った方がいいだろ」
銀八は彼女を背負おうとしたが、その腕を象のような力で止められる。神威であった。
「俺が行くよ」
「……女子ぶっ倒したヤツには任せてらんねーよ」
「もう間違えないさ。卵の黄身を掴むほどの力でやる」
お前らその力の差で本当に友達できてんの? 喉から出てきてしまいそうであったが、銀八はぐっと堪えた。そうでもしないと掴まれた腕が粉砕されそうであった。
先ほど広崎の手を握っていた神威を思い返す。普通に繋がっていたのだ。彼なりに彼女を傷つけないよう加減をしていたのかもしれない。
銀八が「へいへい」と広崎を放すとすぐに神威が背負った。傘を差したままなので、サツキとメイみたいだなと銀八は思った。それなら俺はトトロだな、とも思った。
「待ってなよ透里、ひとっ跳びで病院に着くから」
「オイオイ待て待て、何度も言ってるだろ病人だぞ。お前が激しく動けば全部広崎に響くんだよ。背中でゲロるぞ」
「……わかってるよ」
大人しく顔を背けた神威に銀八は内心目を瞠る。素直に言うことを聴くことにも驚いたし、弱いヤツに興味がないこの男がいくら友達とはいえ面倒を買って出るとは。
人に押し付けてとっとと帰るだろう、それもまだ良い方だ、そう思っていたがどうやら想像以上にこの二人の仲は深いらしい。それか、……。
「んじゃ俺もついて行くわ」
「心配しなくてもちゃんと病院行くって。病人を襲う趣味はないヨ」
「わかってんだよ」
ハァ〜と頭を掻きながら先を進み出した銀八に、神威はしばらくその背中を見つめたのちに歩を出した。
「夜兎工ォオオ!! 今日こそ死んでもらァァァアアグフウッ!」
「いい加減にしろテメーらァ! なんなんだよなんで歩いてるだけで毎度毎度ケンカ売られるんだよオメーは!」
「あーあ、いいのかなァ教師が学生に手を出しちゃって」
「元はと言えばお前が歩くゴングだからだろーが! ……あ、いや、違うから。手出してないから。そこにある看板が風で動いて勝手にアイツらの顔にぶち当たってるだけだから」
勘弁してほしかった。病院までの道のりがこんなにも長く感じるなど、誰が想像していただろうか。
神威を見るやいなや、町中の不良共が殴りかかってくる──RPGの経験値積みイベントにより銀八たち一行は足止めを食らっていた。
神威の恐ろしさを知っていればまず自分から向かってくるなどしないだろう。彼らは手練れの不良ではなく、高校に入りたての命知らずと見た。
普段ならば神威が一突き、または一蹴りすれば鎮まりかえる不良共だが、今の神威は少女を背負っている身。格好の餌食であった。
「だから俺も闘るって。足なら出してもいいでしょ?」
「振動がモロに広崎に入ってもいいならいいんじゃねーの」
「……つまらないな」
拗ねるように口を尖らせた神威は、そこまでつまらなさそうにも見えなかった。広崎を抱え直し、銀八に向かって「じゃ、頑張ってセンセー」と笑う彼は元々雑魚に興味がないのだろう。すたすたと足を速めるので銀八も怠そうに舌打ちを漏らした。
「……神威、さん」
「ん? どうしたの透里、お腹すいた? 病院行ったら帰りに牛丼食べに行こうネ」
「酷だろお前のような鋼の胃袋してねーんだよやめてやれよ」
「……お、下ろしてください」
ゼェゼェと息を荒げながら途切れ途切れに呟く広崎に、神威は足を進めながらも首を後ろに捻った。彼の肩に顔を埋めている広崎の表情はわからないが、はいわかりましたと下ろして一人で歩けるほど元気にも見えない。
「……ひとりで、行けます……大丈夫です……神威さ、に、迷惑、……」
「勘違いしないでよ。あんたが病院に行こうとして引き止めたのは俺だ。俺は元あった場所に返しに行くだけだから」
「私はイヌネコじゃ……、……」
ツッコミが弱い。神威は思わず彼女を抱えている手に力が込もりそうで、咄嗟に制御した。ますます上がっていく背中の熱に笑みを作るほどの余裕もない。それ以上彼女が口を開かなくなったのを良いことに、神威は肩を揺らさないように急いだ。
病院で受付を済ませて十数分後、広崎の名前が呼ばれて三人で診察室に入った。本来なら付き添い一名であるが、銀八は神威が何かしでかすのではないかとヒヤヒヤしているのである。
医者は「確かに高熱だし喉も腫れてるしねェ」と広崎を診察すると、細くて長い棒を取り出した。
「じゃあインフルエンザの検査しようか。顔上げて鼻見せて……え!? なに!?」
「透里に何しようとしてるの?」
医者のハゲた頭を神威がガッシリと掴んだので、銀八は"ほら何かしでかした!!"と慌てて神威を羽交い締めにした。
「バッカお前神威ィ! 今言ったじゃん先生! インフルの検査するんだって!」
「検査? 透里の鼻に棒を突っ込んで辱めようとしているようにしか見えないけど」
「広崎の鼻に棒を突っ込んで検査すんの! そういう検査なの! やったことねーのかよお前! ああそうだよなバカは風邪引かないって言うもんなアダアッ」
「な、なんですかあなた達……検査しないならいいですけど」
「してください! してやってください! イダッ」
頭突きを食らい、肘鉄を食らい、とうとう銀八は神威を放さざるをえなくなった。身悶える中、疑いの目で医者を見下ろす神威を止めようともう一度腕を伸ばすと、「……神威さん、銀八先生……」と蚊の鳴くような広崎の声が診察室に響いた。
「出て行って……ください……」
「……」
まあそりゃ鼻の穴に棒突っ込んでグリグリされている所を見られたくねーわな。銀八は乙女心に納得するも、神威は今度は広崎を見下ろして無言の圧をかけていたため、仕方なしにその頭を殴って診察室を退場することになった。
「お前ね、大丈夫だから。医者に任せとけばなんとかなるから」
「……そうとも限らないだろ」
銀八に殴られた頭を摩り、ぽつりと呟いた神威は颯爽と待ち合い室を抜けて行った。
──やっぱりアイツ、おふくろさんと重ねてるのか……。
神威と神楽の母親は小さい頃に病で亡くなったと聞いた。当時二人がどのような感情でそれを受け止めたのか、銀八には図りかねるが、幼少期に抱えた傷が時を経たからといってそうそう塞がることもない。銀八が『心配』して付いてきた理由も、広崎ではなく神威にあった。
「終わりました……あれ、神威さんは」
診察室から広崎が覚束ない足取りで出てきた。咄嗟に銀八は手を差し出そうとしたが、神威の顔を思い出して引っ込める。怖いんだもんアイツ。ボケなのかわかんないもん。ツッコミに命賭けなきゃなんないもん。
広崎は辺りを少し見回すと、「帰りましたかね」と力のない笑みを浮かべた。
「よかった、……移ったら、いけないし」
独り言のように呟いた広崎は、気づいたように銀八を見上げる。まるで先生も移ってしまうと言いたげだ。
発熱で身体が辛いのは自分だろうに、人の心配をするのかよ。呆れた顔をわざと浮かべ、銀八は訊かれるまでもなく答えてやった。
「俺ァバカだから風邪移んねーよ」
「……」
「アイツも──神威もバカなの知ってんだろ」
高熱の頭では理解することも難しいのかもしれない。広崎はたっぷり1分ほど間を開けて、再び頬を緩めた。ようやく銀八もほっと安堵の息を吐ける。
検査の結果は陰性であった。解熱剤などの薬を受け取り、よろける彼女を見守りつつ病院の扉を抜ける。道に面した先にビニール袋を引っ提げた神威が傘を差して立っていた。てっきり帰ったとばかり思っていた銀八と広崎は目を瞬かす。
「センセー、どうもネ。帰っていいよ」
「広崎どうすんだよ」
「大丈夫、透里だって子どもじゃないんだ。一人で帰れるよ」
「俺からしたらお前ら二人共ガキだよガキ。フラフラなガキ一人ほっといてハイサヨナラしちゃいけねーのよ教師っつーのは」
「帰れるよネ、透里」
ニコニコ顔で広崎に近づき、そのまま彼女の足を払った神威。もちろんいつもよりも力のない彼女が耐えられるわけもなく、素直に神威の胸にドサアと倒れ込む形となった。
「あり? やっぱり無理? 仕方ないなー、しがみつかれたらさすがの俺も鬼にはなれない。家まで送ってあげよう」
「……」
いや今自分からしがみつかせにかかったよね? あくまでも彼女から頼られたという形にして動く神威のバカさに銀八はうろんな目を送った。銀八もそういう性質であるが自分を棚に上げた。
「じゃ、センセー。またね」
「あっオイ! つったってお前歩けば不良共が……!」
広崎を背負い、早々に歩き出した神威の背中に銀八は手を伸ばす。インフルエンザではないとはいえ、神威のケンカに巻き込まれれば広崎の身体に響くことは確実。もう一度面倒を見てやるつもりで声をかけたが、道の先を見てあれ? と訝しんだ。バタバタと不良共がすでに倒れているのだ。
──ま、まさか前もって倒しに行ってたのかよ……!
地に伏せている不良の上をすいすいと進んでいく神威に愕然とした銀八は、しばらくしてため息を深く吐きつつ天パを掻いた。どうやらバカはバカなりの看病の仕方があるらしい。いらねェ心配だったなと口角を上げ、銀八も銀魂高校へと急ぐことにした。
は! と目を開けると知らない部屋で、知らないベッドに入っていて、ヒイイと慌ててそこから転がり落ちた。私、朦朧とした頭で知らないお宅にお邪魔してしまった……!?
「風邪引くと寝相悪くなるの?」
「ウワアア神威さアアアげほっがほっ」
奥から出てきた神威さんにほら、とペットボトルを投げ渡されて、上手く取れずに頭で受け止めてしまった。再び床に伏せる。ひんやりしていて気持ち良い……まだ熱があるのかもしれない。随分体は楽になったけど。
腕を掴まれ、気づけばひょいと抱え上げられた。エ、と戸惑う間もなくベッドに逆戻りになる。私を横にさせた神威さんは「お前の家の鍵わからなかったヨ」と事もなく続けた。
「だから云業の部屋連れてきた」
「また云業さんにご迷惑を……」
そういえばよく見たら云業さんの部屋だ。まるで神威さん自身の部屋のような顔をしているが、また云業さんがいない間に勝手に入り込んだのだろうか。
ベッドの横に腰掛けた神威さんは頬杖をついて覗き込んできた。な、なんか寝ている顔見られるの恥ずかしいな。
「透里、なにか食べたいものある? 焼き鳥とかオムライスとか買ってくる?」
「い、いえ、お腹あまり空いてなくて……すみません」
「……そう」
神威さんはそれきり黙ると、じっと私を見下ろすだけになってしまった。
こ、これは……失望されている……!? ご飯も一緒に食べに行けないようじゃ殺しちゃうぞ? とか思ってる? 怖すぎる。無言が怖い。せ、せめてうどんならイケるけど……!
掛け布団を顎まで持っていきながら怯えていると、ふと彼は立ち上がり踵を返した。揺れた三つ編みと背中に、あ、と思った時にはすでに手が伸びてしまった。
天上天下唯我独尊の文字がはためく長ランの裾を掴むと、反動で神威さんの足が止まる。蒼い目を丸くして振り返った彼に、私も同じ顔をした。
「す、すみません……あの、どこに行くんですか」
「……トイレ」
「あっですよねっどうぞっ」
は、恥ずかしい! なんだこの手は! なんで掴んだんだ! トイレくらい自由に行かせてくれよって話だよね。
すぐさま手を放し、奥に向かってどうぞどうぞと手のひらを向ける。神威さんは相変わらず無表情で私を見下ろしていたかと思うと、にこっと微笑んだ。エッ、怖い。その笑みがいつも以上に不格好すぎて怖い。作り笑いどころか、ぎこちないも良いところである。
「……ちゃんといるよ」
とても小さな声だった。バツが悪いように顔ごと視線をそらした神威さんが珍しすぎて、まじまじと凝視してしまう。
熱のせいでうろ覚えだけど、神威さんのたくましい背中におぶわれて病院に行けたことは覚えている。正直放り捨てられると予想していただけに、白昼夢かなと思ったくらいだ。でも私は今ここに寝かせられ、神威さんに傍についてもらっている。
大事に、されたんだというのは、熱の頭でも充分わかった。
「大丈夫です! 神威さんに移っちゃうので私帰ります!」
「……ふーん、そっかそっか。そこまで言うなら俺に移してみなよ」
「ひい!」
先ほどのぎこちなさはどこに行ったのか、満面の笑みであっという間にこちらに迫ってきた神威さん。慌ててベッドから逃れようとしたが、瞬時に掛け布団ごと神威さんにのしかかられて文字通り手も足も出なくなってしまった。死ぬ。圧死。あと恥ずか死。近い。
「ん? 透里? 熱上がってる? オーイ」
覆いかぶさりながら再びつんつんと頬を刺される。たまったもんじゃない。また頭がのぼせ上がってきた。早く元気になって牛丼でも食べに行かないと、神威さんのことだ、絶対いつまでもくっついてくるよ。
21.01.28