五日目「一人より二人」



とりあえずレムレスのおかげで、なんとかフォレノワールを作り終えた。
……まだバランスが崩れている気がするけれど気にしたら負けだよね。

「さて、そろそろ帰るよ、またね」
「あー…ありがとうございました!」

ふう……。
クリスマスケーキの練習は終わった。
ツリーは余った時間で大体作り終えている…はず。
部屋を見回す。今のところ誰もいない。
これでやっと一段落だ!

ピンポーン♪

あれ、チャイムが鳴ってる。

「はーい……」
「フェノちゃーん?」

明るい声が聞こえてきた。あ…コイツのことすっかり忘れてた!
しかもいきなり入ってこないで!!

「あれー、ホントはみんないた方がいいんだけど…いっか。フェノちゃん一人だもん」

え、何これ。
たしかにたった一人。いや、目の前の黒い悪魔――もといエコロ――も数えて二人。
まずい、それもかなり。

「へー…かなり出来ているんだね。フェノちゃんに頼んで正解だったよ」
「勝手にいじらないでよ!」

飾りに手を出すエコロを必死に止める。

「まだ準備中。だから帰って」
「じゃあ手伝うよ」
「悪いけれど大丈夫だから」
「えー遊び足りないし、フェノちゃんも休憩しなよ」
「でも……」

正直、ここ最近休めてない。
第一エコロのせいでこうなったんだよ!?
こうなったら……。そこで私は身構える。

「あれ、そうくる?まぁ、いいや」

目を細めて笑顔を見せる。
ここは一旦退却してもらおうかな!

「あはは……休憩として…レッツ?」
「ぷよ勝負!」

しばらくエコロとのバトルが二戦ほど。
結局負けちゃったけれどエコロは満足そうに帰っていった。そこで気づく。

「へ…部屋の中がごちゃごちゃに!!」

ケーキは無事だったけれどこれ、戻さなくちゃ!!



とりあえず一人で片付けなおし、なんとかなった。
あとは……。
私は壁際においてあった包装紙や箱に目を留める。
これも中途半端に終わってる。
せっかくサンタクロースになるんだから、と思って準備したみんなへのプレゼント。
でもこれだけの量をどうしろと?私一人で。

ピンポーン♪

……また?今度は誰…

「やぁ、フェノ。仕事は順調かな?」
「く…クルーク!?」
「何だい、その包装紙」
「あっ」

そういえばさっきのやつ持ったままだった。

「プレゼント用だね?まったく……僕も手伝って上げるよ」



「フェノ、リボンがたてむすびだよ!」
「ちょっ、包んでる最中にそんなこと言わないで!」
「これ、中身が空っぽだよ?」
「たしか…それを入れておいて!」
「どうして、ほうっておいたのさ」
「う、うるさい…!」

なんだかんだで全て作り終え、袋にも詰めておいた。
けれど、もしここでクルークが来ていなかったら今頃……。
そう考えると身震いする。

「フェノ、僕に感謝してくれよな!」
「うん、ありがとう!クルーク!!」
「なっ、何で急に素直になるんだよ……」

窓の外は夜。いつの間にか真夜中を過ぎようとしていた。



クリスマスまであと三日!



ふはははは。
ちゃんと書けていることを願う。


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(6/8)
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