黒い葉書の記す先へ(半強制)


「やあフェノちゃん!お仕事お疲れ様ー!」
「うぼあっ、エコロに実体がある!?」

「第一声それ?」とエコロは不服そうな声をあげる。
でも表情はとっても生き生きしていた。にやにやしているくらいに。

「どうだった?昨日までのサンタクロース体験。楽しかった?楽しかった?」
「正直疲れた。来年はもうやりたくないかな」
「えー、いいじゃん来年もやろうよー。何ならもう一人誰か呼ぼうか?」
「あんたの場合絶対深刻な人選ミス起こすからやめて」

絶対クルークとかなんか適当に人呼び出すよね、面白いとかいう理由で。
そんなんだったら絶対やらない。死んでもやらない。
……レムレスのお菓子フルコースが待ってるんだったらやるけど。
あれは正直常人が食べられる量じゃないって。

「んー、楽しいと思ったんだけどなー」
「そうだね、あんたは楽しいだろうね。でも私には相当な苦痛なんだ」
「えー」

そんな嫌そうな顔されましても。
実体があるから余計に嫌そうな顔に見えるのがちょっと良心にくるんだよね。
もしかしてそれが目的?だとしたらそれは流石に酷すぎやしませんか。

「ちぇー……あ、そうだ!キミにプレゼントがあるんだ」
「何の脈絡もなくいきなり話変えてきたね」

流石エコロ、思考回路は謎だ。
シグと同じくらい謎だ。
彼(?)はいきなり満面の笑みになったかと思うと、空に向かい思いっきり手をあげる。
果たして何が贈られてくるのか。ちょっとわくわく。
エコロの手に集まった光は段々大きくなっていき、目が開けられないほどになってくる。
そして気付いたころには――

「じゃーん!キミとボク専用のテーマパークだよー!!」
「えええええええええ!?」

その発想は無かった。
というかなんでその発想に至ったのか。
私達の上空の大きな雲の上に、某ネズミの国もびっくりな巨大テーマパークが出来ていた。
エコロは驚いて固まる私を見てまたニヤニヤと嫌らしく笑う。

「驚いてるねー。ご褒美だよ、今日は一緒に遊ぼう!」
「う、うん……ってうわあああああ!!」

手を引っ張られ、思いっきり上空へ。
怖い。すこぶる怖い。絶対手を話さないでよエコロ。
浮遊魔法は使えるけどこういう方法で空を飛ぶのは物凄く苦手だから!

「今日は特別な日、だからね。来年も頑張ればまた」
「……」




でもやっぱり来年はもうやりたくないかな。うん。(結論)

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(6/7)
title bkm?
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