死してなお、其処に咲く(らら様リク・あやクル)



「ナマエ」
「……」

誰もいない城の中、私は一人其処に居た。
いや、正確には一人と一匹か。
私のすぐ隣には『彼』が居るのだから。

「本当に行ってしまうのか」
「人間っていうのは面白くてね、守りたいものができてしまったら意地でも守り通す性なんだ」

彼は理解できない、という顔で私を見つめていた。
無理もないよ。その人間に忌み嫌われ続け、そして守られるのだから。
流石に誰でも困惑するよ。

それでもいい。
敵わなくても、君に嫌われても。
守らせて。

「……貴様に守られる程私は弱くない」
「だろうね。そんなこと分かってるし負けることは分かってるよ。でも別にいい」
「まだ分からないのか?私はお前が……っ!」

彼は何を言おうとしたんだろう。
その言葉は、キスで抑え込まれて見えなくなった。
大丈夫。私はそっちが思っているより強いから。
覚悟は出来てるし、彼が人間と戦えないのは分かっているから。
……おかしいな、目から何か流れてきちゃったね。でも悲しくはないよ。
悔いは沢山あるけれど、彼のために散れるなら悪くない。

「じゃあ、そろそろ行くね」
「待て!貴様がいなくなったら私は……」
「『一人になる』って?そんなはず無いよね」

キスしている間に彼につけた、雫のネックレスを指差す。
それは、淡い紅に輝いていた。

「私は、其処にいる」

彼の驚いた顔を見ながら、すぐに城の前へテレポートする。
勿論、目の前には軍勢。
普段の私なら怖くて手も足も出なかっただろう。
でももう怖くないよ。
キミが其処に居てくれるから。

「さあ、その矛で貫けるなら貫くがいい!鋼より硬きこの盾を!!」

……ありがとう。
大好きだよ。




さよなら。


…………………
久しぶりに納得の行く作品が書けました。
ということでらら様リク、あやクルシリアス夢です!
こんなのでも良ければ貰ってやってください。

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