紅と黄の太陽


「……これ、は」
「奴の花畑に咲いていた紅い向日葵だ。お前も見たことがあるだろう?」

この紅い向日葵がナマエの育てていた向日葵。それなら見覚えがあるのも頷ける。しか何故紅い?そして黄色に見せる必要がある?
何か隠さなければならない理由があるのだろうか。それとも――

「……動揺しているようだな。無理もない」

サタンの声にハッとする。彼は浅いため息を吐くとその向日葵に自らの力を吸わせ、粉々にした。

「……どうしてこの向日葵はこんなに紅いのですか」
「この花はこの世界に『存在してはいけない』花だからな。奴の空間から持ってきたものだろう」

つまりそれは異世界の植物、向日葵のようで違う花ということなのだろうか。彼の言葉は意味が深すぎていまいち確信が掴めない。

「……存在してはいけない、とは」
「言葉通りだ」
「その理由が知りたいんです」

サタンは目を見開く。そして「こんなことも知らなかったのか」とため息をまた一つ。
やけに上から目線で嫌味ったらしい人だ。……魔王様として当然なのだろうか。

「奴の世界に着いて、どこまで聞いている」
「何も」
「……お前はそれでもあいつの親友なのか」

それは自分の台詞だ。どうして殆ど無関係であるはずのサタンより毎日向日葵畑に通っては遊ぶ仲である僕の方が圧倒的に知っている情報が少ないのか。

「まあ、仕方ないのかもしれないな。あいつはお前を特別視していた……故に全てを隠したかったのかもしれない」
「と、特別視?」
「ああ。私から見る限りはな。……恋人、とでも言った方がいいのだろうか」
「はい!?」

冗談だ、とサタンは笑うがレムレスの思考回路は完全に停止する。



恋人。
それは、彼が望んでいた関係。
手が届きそうで届かなかった、彼女と彼の近すぎる距離。

…………………
あ……あるぇ?

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(8/17)
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