3ぷよ目「Forbbiden-Magic」




「え……」
急いで戻ってきた私を待っていたのは……
紙。

『少し準備が必用だからボクは先に行ってるよ
ボクはまもなく究極の力に目覚める、そして君にボクの実力を見せ付けてやる!
天才的な力に魅了されてボクにメロメロになっちゃうかもね!

じゃあ、遺跡で待ってるよ
                   キミよりも天才なクルーク』

「ねーよ」
私がそう言って溜め息を吐くと同時に研究所のドアが開く。
……やっぱり最初はアミティだった。
「フェノ!……クルークは?」
「先に行ってるって。……ったくあのナルシスト、後でじっくりいたぶってやろうか」
「……なんかフェノって時々黒くなるよね」
「え、そう?」
まあ、それが私だから。
そんな話をしていたところに、あの二人が到着する。
「「フェノ!」」
うん、お疲れ様……
「さて、今から遺跡に行くんだけど……流石に三人はちょっと連れて行けないかな」
「あ、じゃあ私ここで色々見てるよ」
「それなら、私も」
あ、一瞬で決まったんだ。
「……決まりですわね」
みたいだね。
「よし……クルークブッ飛ばすよラフィーナ!」
「ええ!」
……あれ、何か目的違う?


「で、何でここにヘンタイがここに居るの?」
「ヘンタイって言うな!」
遺跡の前まで来て、止まる。
そこには謎のヘンタイが立ちはだかっていたという……
「んー……滅びろ☆」
「えっ!?」
あら、滅びる気ない?
正直面倒だから即効朽ちてほしいんだけど。
……あ、さっきから本音ダダ漏れなの忘れてた。
「で、もう一回聞くけど何でシェゾがここにいるの?」
「ああ、そうだった。……この遺跡の奥に強い力を感じてな。そして覗こうとしたらお前達に出会ったという訳だ」
ああ、それはクルークだね。うん。
というか力馬鹿多いねこの辺り……
「んー、間違いなくあいつより私の方が上だと思うけど」
「そうですわね」
何故かラフィーナも同調してそう言う。
「ああ。……それはちょこまかしていて探すのが面倒だったからだ」
で、シェゾはこう答えた。
……面倒なだけでこうなるの?
「そこに飛び入る不思議な二人組、ですわね」
「何してほしい?」
シェゾは少し考えて力強く答えた。
「そうだな、お前達がここに居るなら……その力を頂こう!」
「臨むところだよ……いざ、ぷよ勝負!」


――サササンシャインレイ!
   シシシエルアーク!!

――ぬわぁぁぁぁぁ!!


「よし、行くよラフィーナ」
「ええ!」
「ま、待ってくれ……」
断わる。
「力はその人が持ってこその強さ。そんなに人のものを奪っても意味ないよ」
私はそう言ってラフィーナと遺跡へ走り出した。
結構大きいね……この遺跡
「クルーク、何処に居るのかしらね?」
「さあ……多分地下じゃないかな」
私はそう言って意識を集中させる。
……下からクルークの気配が微かにした。
「ラフィーナ、半径一キロ圏内で打撃の効きそうな床ってない?」
「ああ、近くにありますわよ。でも遺跡を壊すのは流石に……」
あ、そうか……
すっかり忘れてた。
「魔力は十分だから扉さえ見つかれば……あ」
「え?」
……私の言葉が止まる。
地下へ続く階段と、それを囲う結界が目の前に堂々と置かれていた。
「……目の前にありましたわね」
「う、うん」
私達はその結界のまえで止まり、階段を見下ろす。
暗すぎて底は見えなかった。
……この奥に、クルークが。
「全く、何をしているんですの!?クルークったら!」
「本当だよ、人を呼んでおきながら結界張るって……」
絶対入れさせる気ないよね。
ラフィーナは溜め息を吐きながら結界に寄り掛かった。
……破れる気配は無い。
「全く……何か解けそうな魔法持ってたっけ」
「力で壊す、というのも無理そうですわね」
本当だよ。
私も結界に近付き、寄り掛かろうとする。
「アルルかアミティが居ればなんとかなるかもしれないけ……うわっ!?」
「フェノ!?」
……何これ。
私の腕は何故か見事に結界を貫いていた。
「どういうことですの……」
「そんなの私が知りたいよ」
私は腕を結界から引き抜くとそれをつついてみる。
間違い無い。これはクルークと私の魔力にだけ反応する特殊結界……
こんな結界、何であいつが使えるんだろう。
「ま、クルークの魔法なら私の魔法で壊せる筈だよね……ブライト!ブライト!ブライト!ススススーパーノヴァ!!」
言うが早いか、私はどう見てもオーバーキルな最大火力でレーザーを飛ばす。
七色の光を放つそれは、結界に勢いよく突き刺さり――
「……わ、割れない!?」
でも、結界は割れなかった。
こんな強かったっけ、クルーク。
……いや、もしかして。
あるいは――
「……ラフィーナ、どうやらあのバカナルシストは大変なことになってるみたい」
「大変なこと、ですの?」
「うん」
私は自分の力を封じ込めた石をラフィーナに投げる。
「それには私の力、魔力増幅の力が入ってる。アミティとアルルを呼んで、それを渡してほしいんだ」
「あ、勿論ラフィーナも一緒にきてね」と付け足して言う。
そして結界の方に身体を向け、精神を高める。
「私はこれからあのバカの目を覚まさせるために先に行く。こっちに来た時私がどんな状態でも笑うのだけはやめてよ」
「そ、それは――」
私は一度だけ振り返り、シュシュを外しながら微笑む。
「ま、腐っても『十界の主』、簡単に乗っ取られはしないさ」
そう言って再び結界に向き直ると、ゆっくりと階段へ歩いていった。


今思ったんだけど何でこう長いんだ。
一日に3ぷよ分使うとはこれいかに。



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