1ぷよ目「少女の日記」





雨月 23日
今日はクルークの実験で死にかけた。
いい加減核以外の物質も扱ってほしい。
あと結界魔法とかも欲しい。うん。


雨月 24日
今日は図書館で外の世界の月名とか色々学んだ。
今月は師走っていうらしい。
それから明日はクリスマスっていって変人……じゃない、恋人の日なんだって。
……恋、か。
何で今あやクルが思い浮かんだんだ

雨月 25日
何かクルークがしつこかった。あとやたらと頭撫でられた。
今日で寮からクルークも戻ってきたし、またあやクルの夢でも見るのかな……
何気に只今クルークが膝枕状態。重いけどあったかい。
……恋人ってこういうことをよくするのかな?
ってあ、目覚めた!?

雨月 26日
やっぱり見た、あいつの夢。
何かやけにかっこいいのと心臓の高鳴りがかなり悔しかった。
お蔭で今日もあやクルのことしか考えられなかったぜちくせう☆←

雨月 27日
クルークがあやしい。いや昨日と違う意味で。
太陽の栞と月の石と……あと何かを探しているらしい。
ぶつぶつ言ってるのを遠くからみるとかなり痛かった

雨月 28日
記述なし

雨月 29日
昨日はクルークの家に拉致られた。
今日はその帰り。あの家意外と綺麗だった。
あとどうでもいいけど最近クルークが甘えてくるようになった気がする

雨月 30日
明日からアミティの家へお泊り。
アルルも居るし楽しみで仕方ない。
そうなんだけど、あや……
いや、なんでもない。

夢月 4日
あけおめ!
三人で過ごすのは本当に楽しい!
どうでもいいけどクルークが家の中で干からびてた。何があったんだ
あと暇だからクルークの本パクって読んでみた。
……読んでる間赤いのから視線を感じて殴りたくなった

夢月 5日
どうやらクルークは私に会いにきたフェーリ達の襲撃を受けたらしく、かなりボロボロだった。
どうせだからそのまま放置しようと思ってたら捨てられたウサギみたいな目でこっちを見てきたので助けてみた。
で、仕方なく薬作ってブン投げたら逆に自分が殺されかけた。
暫く封印してやろうか、こいつ。

夢月 6日
朝から誰かさんにミルヒシュトラーセとサンシャインレイをぶつけてきた。
何か何度も力を使っているうちに覚醒してきた気がす……!?
……何か一瞬だけ姿が変わったような?

夢月 7日
明日から学校。宿題は終わってるけど最初から最後まであいつがお供とかどういうことなの。
……それはそうとて、暇だったのでアミティの宿題でも付き合ってあげてきた。
え、クルーク?知らない。
あやクルがすごくこっちへ助けを求めているけど何があったのか。

――日記を読み終わり、私は溜め息を吐いた。
こんな酷い冬休みだったっけ?
というかクルークの話多くない?
「……うん、酷い」
私は鞄にそれを仕舞うと、鍵部屋を出る。
そうだね、あいつ此処にべったりだったもんね……
「フェノー、この問題わかんない」
「え?ああ、問一の問題ね。例えば十連鎖したら魔法はどうなる?」
「えーっと、四連鎖までと六連鎖から……フェアリーフェアだ!」
「はい正解。で、これは十三連鎖だから?」
「ばばばよえ〜ん!!」
何だ、落ち着いてやれば問題無いじゃん。
何気に強化ボイス分ちゃんとダブッてるし
「うん、そんな感じで七連鎖十連鎖十三連鎖を基本に計算するといいよ」
「へー……ありがとうフェノ!」
アミティはにっこりと微笑み、課題に取り掛かった。
……冬休み最終日まで宿題残すならここ来て勉強しよう?
ナルシストでもいいなら一人天才居るし。
「フェノー!勉強教えてもらいにきたよ!」
「お、アルル!ちょっと待ってて今行くから!……ってなんでアルルに私が勉強教えるんだ」
何か学習塾みたいになってるのはきっと気のせいだと信じたい。
「クルーク!ちょっとアルル連れてきて!」
「え!?……まあ、キミの頼みなら特別に連れてきてあげるよ」
分かったから早く行ってきて。
「フェノー、ここ分かんない」
「あ、発展問題?アクティブルールはぷよを消している間にも次のぷよを配置できるルールだから、ここを消してその間にこれをここに置いて……」
「フェノ!連れて来たぞ」
「お邪魔しまーす」
「アルルいらっしゃい!……よしクルーク、アミティ頼んだ」
「え!?」
それにしても勉強教えるのって結構楽しいな……
「フェノ、私にも教えて下さらな……く、クルーク!」
「ラフィーナ!?」
……あ、何か大変なことになりそう。
「よし、今日は全員宿題終わるまで寝かせないからね!」
「「ええええええええ!?」」


「んー……」
全員の課題が終わった後。
完全に力尽きた。
……もう駄目、力が出ない。
「あー、クルーク、私もう寝るわ。あんたは此処で寝るんだったら布団敷きなよ……」
私はそう言うと倒れるように眠った。
皆も帰ったしもう寝てもいいよね……


――夢の中。
私は例の空間に居た。
またいつもどおり愛でられるのだろうと考えると、かなり深い溜め息が吐ける。
けれど、今日の夢は少し違っていた。
「……フェノ、か。待っていたぞ」
あやしいクルークはそう言って私を抱き締める。
その抱擁には、どこか苦しげな感情が交じっていた。
……何、この感じ。
「フェノ。何故お前はそんなにこの者と共に居る?」
「え……?」
あやクルの声に微かな怒りを感じ、私は一瞬たじろぐ。
「お前には私が居るというのに、何故そんなにもこの者と共に居るのかと聞いているのだ!」
「ッ!!」
あやクルはそう言って私の顔に自分の顔を近付けた。
鋭く、紅い瞳が私の鼓動を加速させる。
彼は怒っていた。
――クルークを、妬んでいた。
「それは……ッ!!」
「言えないのか?言えないのなら……あいつからお前を奪い取るまでだ」
あやクルはそう言って強く私を抱き締め、そして強引にキスをした。
強くも甘さの残ったそのキスに、心を奪われそうになる。
「ん……っ」
「お前は私が初めて手に入れたいと思った者だ。大人しく私の愛に溺れるがいい!」
溺れたい。
あやクルの腕の中に居たい。
でも、私はそんな事出来ない。
私は、弱虫だから。
「あ……あやクル……」
「そうだ、もっと私の名を呼べ。そしてあいつのことなど忘れてしまえ!」
激しい抱擁に息が詰まる。
鼓動の高鳴りが止まらない。
「ク、ルーク……助けて……」
自分の力では元に戻れない。
私は気付いてしまった。あやクルが好きだ、と。
でも、それに気付くにはタイミングが悪すぎる。尚更夢に溺れてしまう。
早く、クルーク――!!

――光が満ちる。
夢の中に無数の光筋が走り、あやクルの身体を焦がしていく。
「くっ!?おのれクルーク……また私の邪魔をするのか!?」
あやクルは最後に私の肩に何かを残すと、身体を離して消えていった。
……何だったんだろ、今の。


#クルークside
「あー、クルーク、私もう寝るわ。あんたは此処で寝るんだったら布団敷きなよ……」
そう言うと共にフェノは力尽きて倒れた。
……机に突っ伏すフェノが、とても愛しく感じた。
「フェノ?」
試しに呼んでみるが、彼女が答えることはなかった。
もう眠っているのか……
少し興味があったのでボクは静かにフェノに近寄る。
そして表情をじっと見つめてみる。
……いかにも幸せそうな、優しい寝顔。
気付けばボクはほぼ無意識に頬をつついていた。
「んー、クルーク……」
「!?」
マズい、気付かれた!?
ボクは急いでその場を離れるが、フェノは目覚めない。
……何だ、夢か。
ボクはホッとして再びフェノに近寄る。
――フェノは、泣いていた。
「フェノ!?」
先程とは一転し、彼女の目には涙が溜まっていた。
どういうことだ?
何で、何でボクが居る夢で泣いているんだ?
ボクはまた半無意識に泣いているフェノの頭を撫でた。
泣かないで。何かしたなら謝るから。
ボクを嫌わないで……!!


……ボクは夢中でフェノを慰めていたらしく、気が付くとボクの膝には泣き止んだフェノの顔があった。
一瞬どうすればいいか迷ったけれど、温かいしフェノがボクに触れていることを感じると胸がまた高鳴る。
また明日、フェノが起きる前に戻れば問題無い。
そう思いながら、ボクも眠りについた。

消化不良。
書きなおすとか言いながら何カ月放置してるんだろう自分
※執筆日時:10/5



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