第十四章「銀色の覚悟」


――ナマエ、ナマエ!はやく目を覚ませよ、寝ているんだろう!?なあ、ナマエ!!
ふと、何処かから声が響く。それはすぐ傍で手を伸ばせば届きそうであり、消えてしまいそうでもある近くて遠い距離。
それは誰のものなのか。問おうとして口を動かしたが、言葉になることは無かった。
目も開かない。見えるのは、ただ只管な暗闇のみ。……だが、不思議と恐怖を感じることはなかった。
目も開かないし自分以外の気配は何も感じないが誰かに抱きしめられているような感覚。そしてもう一つ、聞こえた声はとても聞き覚えのある少年の声。
心地よい。彼女は静かに微笑み、そして自分がまだ生きていることを悟った。
――早く目を覚ませよ、ナマエ!
その声の通り、もう一度瞼を開いてみれば――

「……クルーク」
「ナマエ!こ、こんなにボクに心配させるなんて、どういうことか分かってるよな!?」

彼女は「勿論分かってないよ」と微笑み、寝たままの上体を起こす。
地面が柔らかく温かい。どうやらそこはベッドのようだった。

「分かってないって……はあ、記憶を無くしてもあんまり変わらないところってあるんだね」
「それは知らない」
「……ボクには確信犯にしか見えないんだけど」
「さあ、どうだろうね」

クルークは疑うような目をしながらも、彼女が意識を取り戻したことに安堵していた。
なんだかんだ言っても、自分にはやはりナマエが必要なのか。今更それを否定する理由も意味も無いが。
ナマエはそれを悟ってか、不意に隣に居る彼を抱きしめる。

「うわっ!?」

いきなり抱きしめられ、彼の身体は大きく揺らぐ。ナマエは依然笑顔のままだ。
顔が火照って赤くなる。鼓動がどんどん早くなっていく。

「ちょ、ナマエ……離せ、離してよ!」
「やっぱり今のクルークが一番いい」
「はあ……?」

今の自分以外にどんな自分が居るのか。もしかして紅の魔物のことか?あんなものボクな訳ないに決まってる。
……あいつなんかより、もっとナマエのことを愛してる。
レムレスよりも、あいつよりも。ボクの方が絶対に。

「……クルーク?」

反応が無くなり、不思議に思ったナマエが彼の名を呼ぶ。
愛しい。何よりも先に、真っすぐその感情が胸を貫いた。
彼は幼子のようにはしゃぐナマエを抱きしめ返し、そのまま耳元でそっと――

「もうあいつらには渡さない。意地でもキミを守り抜くよ」

――それは、彼の覚悟。



……………………………
取り敢えずgdgd。というか何だこの四角関係
レムレスさん空気?ごめんなさい反省してないです
ナマエの性格と口調が安定してなかったので初期(第一章)意識して書きましたとさ

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