17ぷよ目「目覚めてはいけない力」


刹那、いくつものぷよが落下してくる。
私はいつもどおり挟み込みと適当な折り返しで即座に連鎖を作りだした。
今回は本気……18連鎖といこうか!
「フェノ……積むの早いね」
「安心してください、手加減はしていませんよ!」
私は適当にそう言って発火準備に入る。
何だかんだ言ってレムレスも13連鎖まで積んでるじゃん。
「さて、行くとしますか!」
「あれ、フェノもしちゃうの!?」
からの相互発火。
これは勝てるかな?
「ブライト!ププリズム!さあ!行くよ行くよ!せーので!ブライト!パパーティクル!」
「メランジェ!メランジェ!ルルルーロ!怖くないよ?傍においで!メランジェ!シュシュクレフィレ!!」
ほぼ同じ威力の魔法を互いに放つ。
けど18と13じゃ5の差があるからね……5連鎖は大きいよ。
私は勝利を確信し、さらに魔法を重ねていく。
「メランジェ!メランジェ!メランジェ!フォフォフォフォレノワール!」
「さあ!行けるかな?行くよ行くよ!せーので!ブライト!ブライト!ブライト!ススススーパーノヴァ!!」
そして、連鎖が終了する。
これで相手のフィールドにおじゃまぷよが大量に降る――
と、思ったら。
「変身……♪」
「変身っ!!」
しまったああああああこれフィーバーだったあああああああ!!
身体が変化し、私は過去の姿、レムレスは未来の姿に変わった。
えっ、レムレス白っ!!
「1!2!3!4!5!6!7!さあ!……上出来だね!」
「1,2,3,4,5,6,7!ほら、平気だよ?怖くないよ?傍においで!」
ちびぷよとでかぷよかあ……正直これ負けを意味してると思うんだけど。
「メランジェ!ファリネ!ルーロ!シュクレフィレ!グラッサージュ!甘いね」
「ひいい、相殺された!?」
抵抗はある程度できていても、連鎖数の違いが大きすぎる。
これ、いつ終わるんだろ……
「ブライト!プリズム!パーティクル!サンシャインレイ!ミルヒシュトラーセ!これで全部だよ!」
「フォレノワール!ほーら!ほーら!ほーら!まだまだ!」
うん、これは無理だ。
通常に戻って積み直すしかない!
けどこれ、絶対終わった瞬間に落ちてくるよね?
むむむむむ……!
とか言ってるうちにフィーバータイムが終了する。
同時に、私のできることも無くなる。
「ぎゃふん……ボロボロだあ」
「大丈夫?」
……で、呆気なく一本取られてしまった。
次はでかぷよでいこうかな?
「むう、次は負けませんよ!」
「僕は何回でも相手になってあげるからね」
レムレスはそう言いながら杖を回す。
そして、嬉しそうにキャンディを一つこちらへ飛ばしてきた。
「わわっ、何ですかいきなり」
「何、ってキャンディだよ?」
それは見れば分かります。
レムレスはこういう時でもいきなりよく分からない行動をし出すから正直少し怖い。
爆薬が入ってる、とかじゃないよね?
「勝負の後にはついキャンディを作っちゃう癖があってね。あと1,2個できるからフェノにあげるよ」
「はあ……ありがとうございます」
私は取り敢えずお礼を言い、一旦それを別空間に送る。
……さて、気をとりなおして二戦目だよ!
「じゃ、もう一度行くよ?」
「はい!」
今度は即座に消せるよう、3連鎖以上同時全消しを狙う。
全消しは無理でも最低28ぷよは消したいかな。七連鎖分!
「さ、今度はどんな連鎖を見せてくれるのかな?」
「相変わらず余裕ですねレムレス」
いや、こっちもギリギリって訳じゃないけど。
相手フィールドの状況を確認しながら、赤、青、緑、黄の順に積んでいく。
これで5連鎖同時消しが出来たから……よし!
「さあ!行けるかな?行くよ行くよ!せーので!パーティクル!」
全てのぷよが消えた訳ではないけれども、取り敢えずは成功。
ここから手早く13連鎖を組む。
「あらら、そうきちゃったのか……でも」
読み通り、レムレスは即座に相殺を始めた。
10連鎖、だね。
そんなことしたら、当然あっちはフィーバーモードに入る。
けれど、今回はむしろそれが目的だった。
「ググラッサージュ!……変身♪」
レムレスは案の定連鎖を終え、フィーバーモードに入る。
白いレムレスって違和感しかない気がするのは私だけなのかな?
「フェノ、ちょっと読みが甘かったね」
「いやいや、これも目的の一つです」
私の目的――それは、フィーバーを相手とずらし、また相殺させることでタイムを上げること。
でかぷよラッシュは得意分野、だからね。
「ファリネ!ルーロ!シュクレフィレ!グラッサージュ!フォレノワール!」
さて、おじゃまぷよも溜まってきたことだし、相殺タイムといきますか!
「さあ!行けるかな?行くよ行くよ!ブライト!パパーティクル!行くよ行くよ!せーので!ブライト!ササンシャインレイ!」
ここでゲージは満タンになり、相殺もそろそろ終わりそうになる。
倍率の差って恐ろしい。タイプも関係するんだろうけど
「ブライト!ブライト!ブライト!ススススーパーノヴァ!!……変身っ!!」
そして、でかぷよラッシュに入るために姿が変わる。
身体に力が溢れだし――

……何、この力。
十界の力に似ていて、そうでもない。
でも、魔導で出せるような力でもない。
もしかして――
「ッ!!」
「フェノ!?」
刹那、心臓を矢か何かで貫かれるような強い痛みが走った。
痛い。苦しい。
脳裏に知らない影像が流れ、次第に何がどうなっているのか分からなくなる。
ついには立っていることさえ辛くなり、変身を解きながら前に倒れた。
不思議と、外傷の痛みは感じなかった。
「大丈夫!?ねえフェノ!フェノ!」
「レム……レス……」
目の前のものがぼやけていき、レムレスの声も遠くなっていく。
私はそのまま、意識を手放した。


「んんっ……あ、あれ?」
気が付くと、そこはベッドの上だった。
痛みは完全に消え、意識もハッキリしている。
何だったんだろう、さっきの。
「フェノ、やっと目覚めたんだね」
ふと、後ろから誰かの声がした。
振り返れば勿論、お菓子を持ったレムレス。
というか、よく考えたらここはレムレスの部屋だから当然この人しか居ない。
声色で大体分かってたけどね。
彼は私に歩み寄ると、昨日のようにぎゅーっと強く抱き締めた。
「心配したよ、フェノ。いきなり倒れちゃうなんて」
存在と温もりを確かめるように、レムレスは私に軽く頬擦りする。
「大丈夫です、私は十界の主なんですから……って何するんですか!」
「うん、フェノだ。あったかい」
むう、この人の行動は本当に訳がわからない!
……でも今は仕方ないかもしれないけどね。
急に倒れちゃったし。しかも目の前で。
「はあ、トレードスクールも明日で最後か……貴重な時間潰しちゃった」
「それなら大丈夫だよ、先生も仕方ないって。……その『今日』の授業始まっちゃってるけど」
え?

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