16ぷよ目「彗星の魔道師×流星の魔道師=?」


「お・は・よ・う♪」
「ひいいいいいい!?」
最近、朝と昼がファイルの最初に交互来ていると思うのは私(中の人)だけでしょうか。
甘い香りのする部屋、目の前に居る緑色の魔法使い。
ここは、レムレスの学校の寮。
よし、記憶は抜け落ちてない!
「もう、いきなり驚かさないで下さい!ショック死しますよ」
「ごめんね。朝ごはんのあま〜いワッフルが焼きあがったから一緒に食べようと思って」
レムレスはそう言いながらマシュマロを一つ頬張った。
最近よく食べてますね、それ。
「さ、行こうか」
「はい!……って人の話を聞いてください」


なんとなく不安になったので話のタネに、とアミティを召喚し三人で食事をする。
甘い。これ朝食の割りに甘すぎるよ。
ワッフルの上にはバニラのアイスクリームと稀少な某乳酸菌飲料(白い方)のバター。
中はやけにしっとりふわふわでーってなんで解説してるんだ私。
「レムレス……これ、朝ごはんにしては甘すぎない?」
アミティは少し苦笑しながらレムレスに問う。
うん、それ私も思った。
それに対しレムレスは
「そうかな?少しお砂糖を控えてみたんだけど」
と答えてまたワッフルをかじった。
これで甘さ控えめ?
朝ごはんで……え?
「じゃあ、いつもの朝ごはんには砂糖はどれくらい入れるんですか?」
レムレスはワッフルを飲み込み、指で数え始める。
「うーん……2つ作るのに大体800グラムくらい、かな」
多っ!!
1個につき400グラム!?
「わ、わあ、流石レムレス……」
私は思わず棒読みになる。甘ったるすぎますよそれ。
「朝はとびっきり甘いものを食べないと上手く魔法が使えないからね」
レムレスはそう言って何故か物凄く幸せそうな笑みを見せた。
ああ、そうですか。
この人の頭に栄養バランスという言葉は無さそう、というか皆無だ。
まあ、たまにはいいと思うけどね。
「明日の朝ごはんは私が作りますから。たまにはちゃんとした栄養も採ってください」
私はそう言いながらまたワッフルを口に含む。
うん、甘ったるい。
涙目になりながらもなんとか無言で食べきり、アミティと一緒に準備をして校舎へ走った。
レムレス?知らない。


――広い校庭に出る。
どうやら今日の午前中の授業は「だいへんしん」ルールのぷよ勝負大会?だったらしい。
「わあ、広い……」
「流石、エリート学校だね」
微かに感じるレムレスの気配を避けながら、アミティと一緒に歩いていく。
時々感じる不自然な小さい風はレムレスが動いている証拠だ。
「フェノ、さっきからやけに綺麗なステップ踏んでるけどどうしたの?」
「え?ああ……」
そっか、アミティは気付いてないんだっけ?
私はレムレスの動きを読み、さり気なく小さな星をぶつける。
「おっと!」
すると、彼は案の定姿を現し、大きく転んだ。
「わ、わあ……」
一体何のために姿を消していたんだろう?
私は取り敢えずアミティの手を繋ぎ、いきなり駆け出す。
「え、フェノ!?」
「レムレスは放っておくと危険だからね!」
私は加速しながらアミティに言った。
そういえば昨日の話、してなかったっけ?
「な、なんで危険なの?」
「昨日の夜、実はレムレスに告白されたんだよね……気配を消していたことを考えるといい予感はしない!」
言うなり、集合場所に辿り着きアミティと自分だけが入れる程度の軽い結界を張る。
いや、どうせ壊されるだろうけど。
「捕まえた♪」
……ほら。
「うわっ!?」
レムレスは私をぎゅっと抱き締め、甘い甘い微笑みを浮かべる。
凄く、幸せそうだった。
「フェノ、大好きだよ♪」
「何なんですかいきなり……レムレスらしくないですよ!?」
私は腕の中で暫くもがき、数分経ってようやく解放される。
その頃にはレムレスも少し落ち着いたようだった。
「さて、そういえばフェノとアミティはだいへんしんルールについて知ってるのかな?」
「「知りません」」
私たちは何故か声をそろえて言った。
流石のレムレスも想定外だったらしく、少し驚く。
「えっ……そ、そっか」
「だいへんしんは身体に負荷が掛かる故、あの学校では、と」
同調してアミティも頷く。
確か十界とかなら時間魔法への圧力が減るからできるらしいけど……
何処いくの?人間界?
あ、そういえば八大地獄の一番下の監理がザルになってたっけ。
今度結界でも張りにいこう。もしくはいっそ封印しよう。
「……フェノ、顔が怖いよ?」
「へ?」
ああ、地獄界を思い出すとつい。
咳払いをして、レムレスの説明を聞く。
「で、そのルールはどんなものなのですか?」
「ああ、えっとね……」
話によると、大体フィーバーと同じようなルールらしい。
普通のフィーバーと違うのは、フィーバーした時にちびぷよフィーバーになるかでかぷよラッシュになるかの分かれ道があること。
そして、その時の姿がちびでは過去、でかでは未来のものになる。
なにそれ面白そう。
「ちびぷよフィーバーとでかぷよラッシュについては……流石に知ってるよね?」
「はい。……過去の姿、か」
私は十界から逃げだしてきた時のことを思い出す。

――恐くないよ、傍においで
『え、でも……』
――大丈夫。僕とクルークがキミの友達になってあげる
『友……達……?』
――うん!喜べよ、これからはこのクルーク様とレムレスがキミの傍に居るんだからな!
『傍に……でも、いいよ。私あっちの世界では独りだし、困らせちゃうかもしれないし』
――素直じゃないな〜……じゃあ、意地でもボク達の傍においてやる!
『え、ちょっ、やめてえええええ!!』

……軽く誘拐じゃん。
思わず噴き出しになるのを抑え、もう一度こくりと頷く。
「じゃあ、そろそろ授業だし、行こうか」
「はい!」
「えっ、待って二人とも!」


「で、やはり相手はレムレスと」
「そうだね。僕に勝ったらマシュマロ1000個あげるから、がんばってね?」
2ケタくらい多い気がするのは気のせいじゃない。
……けど、レムレスは何てことなく大量のお菓子を作りだすからね。
好物とは言えど、そんなに食べたら流石に飽きちゃうよ。
「まあ、それはさておき!準備はいいですか?」
レムレスはいきなりの戦闘体勢に驚き、そして何時もどおりに微笑む。
「勿論、大丈夫だよ。……手加減は、許さないからね」
手加減なんてレムレス相手にできません。
私は相手の宣言を確認し、ぷよを落とす準備をする。
「よし、それではレッツ?」
「「ぷよ勝負!」」

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