Hぷよ目「Pheno-Lute」


レムレス、クルーク、フェーリに殺されそうになってから一週間。
正直……いつもどおりだった。
強いて変化したところを挙げるとするなら、あやクルの夢を頻繁に見ることになったことぐらいかな。
あとりすくませんぱいが実験道具をことごとく壊しまくってくれたり。
うん、もうやだ。
「あー、今日も学校行ってぷよ勝負しての繰り返しか……いいね、異変が無いって」
「そうだねー。それよりフェノー、何か甘いもの持ってない?」
「え?持ってないよ……ってレムレス!?」
あ、あとレムレスがとうとう砂糖を抜きはじめました。
物凄くふらふらしてる……今日こそ限界?
「ごめんなさい、眠気覚ましとかならあるんですけど……」
「そっか……あれ、フェノの髪の毛に美味しそうな白いキャンディが……」
「え!?それは食べちゃだめ!校章の髪どめで「いただきまーす……」ひいいいいいい!!」
と、こんな感じで。
ほのぼのとした日常、いいよね……
後はあのメガネのどっちかさえ居なければ一番いいんだけれど。
「むう……仕方ない。クルークとあやクルをまとめて封印する方法でも考いだだだだ腕噛まないでくださいってば」
「甘い……甘い甘い甘い甘いあまあまあまあまあまあまあまあまあま」
わーいレムレスが壊れたー。
フェーリ助けてー。
取り敢えずレムレスの耳元で、低い声で脅迫するかのように囁く。
「レムレス、それ以上噛むとスーパーノヴァ落としますよ」
自分の割りに低く落ち着いたその声は、レムレスの自我を取り戻すのに丁度良かったらしく、
「え?……あ、ごめん!」
と、すぐに私から離れてくれた。
なんとなく……何処からか視線を感じるのは気のせいかな。
それ以前にレムレスの体調が最優先だけど。
「むう、本当に大丈夫ですか?フェーリでも呼びます?」
「遠慮しておくよ……塩だけで作られたケーキなんて食べたくないからね」
レムレスはふらつきながら苦笑した。
なんというか……ご愁傷様。
「で、でもよければフェノのお手製ケーキは食べたい……かな」
「ソルトケーキ?」
「いや、甘ぁ〜い生クリームのケーキがいいな……」
ですよね。
私は溜め息を吐くと、「ま、気が向いたら作りますから」と言ってその話を強制的に終了させた。
レムレスも「き、気が向いたら〜?……まあ、いいや。今日は僕もすることがあるからね」とか言って何処かへ飛んでいっちゃったし。
ふらふらしながら。
で、この場に残ったのは私と、気配を消す魔法を使った故であろう極薄な誰かの気配。
間違いなくナルシストかアミティ?いや、アミティなら興奮して出てくるか。
と考えると……
「……はあ。逃げよう」
腕に相当酷い噛み痕残っちゃったけど、どうしようか。
メガネのどっちかにでも知られたら終わるよね。いや知られてるけど。
私はふわりと空へ浮かび、唖然とするクルークの姿を尻目に飛び立っていった。


で、最終的に見つかってしまい、圧迫死させられそうになった後頭の回転が早くなる薬を作れと言われた。
何でも、ぷよ勝負でレムレスに挑むんだとか。
なぜにそんな無謀なことを……


――Pheno*Lute.
「クルークに薬を渡すために」


そして、その翌日にあたる今日。
「や、やっと完成した……」
一夜漬けで作ったお手製の薬とレムレス用ケーキ……の、材料。
二つ共その場で作った方がいいよね、絶対。
ちなみに威力は抜群。試しに飲んでみたけどこれは凄い。
……問題は、妙に酸っぱいことかな。
でもそれはまだ問題なし。
窓から空を見ると、既に太陽の光がまぶしかった。
これ、もしかして……昼?
「も、もう十時!?……でもまあ今日は休みだし、のんびり休憩でもしようかな?」
久々に何もしない休日っていうのも悪くないよね。
私は何故かまだ眠るりんご達の横を通り抜け、クルークの住み着く書斎へ歩く。
……誰も居ない。
「クルー……あれ?」
早速、クルークは悪い具合に予想を裏切ってくれたようだ。
机の上の置き手紙にま場所、日時の指定も無く
『ボクのところにおいで』と書いてあるだけだった。
何を企んでるんだろ……
「ま、いいや。多分見つかるよね」
私はそんな適当な考えで必用なものをバッグに詰める。
ふと、りんごが起きてきたようだった。
「ん……あ、フェノ!おはようございます」
「あ、おはよう。今日はちょっとあのナルシストを探しに出掛けるから留守番よろしくね」
「え!?……でもなんでいきなりメガネさんを探すことに?」
「そこの置き手紙を見れば分かると思う」
私は机の上に置かれた紙を指さした。
りんごは試しにそれを読み、「うわあ」と声を上げる。
「それはそこはかとなく大変そうで」
「すぐ見つかればいいんだけどねー」
あいつのことだからなー。
多分遺跡か図書館かなー……
「まあ、そういうことだから。朝食は適当に作って」
「はい!いってらっしゃい」
考えるよりまず動こうか。
私は研究所のドアを開け、外へ出た。
……そこで改めて『昼だ』と気付く。
「さて。何処にいるのかな、あのナルシスト」
取り敢えず情報収集のために商店街の方へ歩く。
こういう時に何故かアミティは役に立つんだよね。
訪ね人の居場所教えてくれたりとか。
「ということでまずはアミティを……」
「あ、フェノ!」
探す前に見つかる。
運がいいって言うのかな?これ。
「アミティ!……ねえねえ、クルーク見なかった?今探してるんだけど」
アミティは勿論ニッと笑って「うん!でもぷよ勝負に勝たないと教えないよ?」と言った。
ぷよ勝負、ね。
「いいよ。今なら頭も冴えてるしやってあげる!」
勿論、こちらの答えはOK。
何より楽しいし、クルークの居場所も教えてもらえるし!
「やったあ!それじゃあ……」
アミティは私を指さし、準備完了のポーズをする。
私もアミティを指さし、小さく頷いた。
「さて、それではレッツ?」
「ぷよ勝負だっ!!」


「あー、楽しかった!」
「うん!アミティも連鎖上手くなったね。……で、クルークは何処へ行ったの?」
無事ぷよ勝負に勝利し、取り敢えずあいつの居場所を聞く。
アミティは「あ、そうだった」と言って少し真面目な顔になる。
「えっと……確か森の方に行って、連鎖の練習をするって言ってたよ」
「も、森?……遺跡じゃなくて?」
「うん!」
わあ、結構早めに見つかりそうだね。
私はアミティにお礼を言うと、森へ走った。

で、森の中。
「センパイ……どこなの……」
フェーリが、フェーリが怖い!
物凄く話しかけ辛いんだけど……
「ふぇ、フェーリ……近くでクルーク見なかった?」
私がそう言った瞬間、フェーリは暗黒顔で振り返った。
「フェノ……アナタがセンパイを私から引き離したのね……」
ひいいいいいい!予想はしてたけど凄い威嚇されてる!?
「違うよフェーリ!私はクルークを探しているだけで……」
「言い訳したってムダよ……アナタのウンメイ、ぷ・よ・じ・ご・く」
駄目だ、話聞いてない。
地獄界なんて私の支配下だけどさ……だけどさあ!
「あー、もういい!力づくでも教えてもらうよ!」
私はそう叫び、ぷよを勢いよく落して連鎖を積む。
もういい、この際適当に10連鎖出してしまえ!
「イングレス、イングレス……ココンジャンクション!」
「むううううううう!ブライト!ブライト!ササンシャインレイ!!」
「っ、ちょっと止めてよ!!」
無論、フェーリは大量のお邪魔ぷよの壁を前に何もできず、
「こ、こんなの違うワ……」
と、すぐに力尽きてしまった。
でも、私の連鎖はまだ続いている。
「行くよ行くよ!せーので!ブライト!ブライト!ブライト!ミミミミルヒシュトラーセ!!!」
……うん、11連鎖。
そしていつもの台詞を喋り、ぷよ勝負を終わらせた。
「はあ、はあ、はあ……だから違うって!!」
呼吸を整え、フェーリに向き直る。
「私は今、レムレスじゃなくてクルークを探してるの。森に居るって聞いたんだけど、見かけてない?」
どうやらここでようやく私の言葉を理解したらしく、「一応見たワ。でも今此処には居ないみたいよ」と言ってダウジングロッドを構えた。
「此処には居ないって……じゃあどこ?」
「キエエエエエエエエエ……」
聞いてない、か。
じゃあ、森の先……まさか砂丘?
凄く行きたくない。
「最悪向かうは遺跡、ね」
私は溜め息を吐き、森の中を走り出した。

は、走り出し……


「……シグ、何そのポーズ」
「ここから先へは行かせないー」
前言撤回。
フェーリの姿が見えなくなったと思ったら今度はシグが出てきた。
ムシが近くに飛んでいて、驚くから近付かせたくないんだって。
「もー、こっちは急いでるのに……」
「だーめー」
仕方ない、可哀想だけどぷよ勝負で通してもらおうか。……上空から。
あれ、これぷよ勝負いらないんじゃない?
ま、いいか。


…………………………
めっちゃカットしてます。はい←
本当は
1:りんご
2:アミティ
3:フェーリ
4:シグ
5:リデル
6:???
7:???
8:クルーク
なんですけど今回1と5がカットされ6もかなり短いです。多分。

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