6ぷよ目「不法侵入は犯罪です」

朝日が思いっきり顔に当たり、どうあがいても起きざるを得なくなる。
もう朝か……はやいね。
「んー……あれ?」
布団の中で伸びをすると、何故か何かにぶつかった。
布団の中に物……時計かな?
私はまだ開いてくれない目蓋をこじ開ける。
そんな私の目に映ったのは――
「あ……あや様あああああああああああああ!?」


「あー、朝から無駄な体力消耗した」
「たかが添い寝程度でそんなに驚くか!?」
「せめて何か言ってよ!まだ心臓ドキドキしてる……」
うん、朝から叫んでパーティクルとサンシャインレイの連発しちゃ流石にね。
クルークを起こす手間は省けたけど。
「まったく……寝るときまでシュシュするなんて嫌だよ?」
私は疲れきった顔で呟きながら机に突っ伏した。
もしくは別の制御装置か何かを付ける必用があるね……ああめんどくさい
「悪かった……だがせめて一日中封印するのだけはやめてくれ」
「ちょっと前まで本に閉じ込められっぱなしだったのに?」
私は伏せた顔を上げ、溜め息を吐く。
あやクルは何故か私の方に寄り、頭を撫でた。
「クルーク、この魂どうすればいいと思う?」
クルークは何故か洗い物をしながら答えた。
「そうだね……フェノとボクの仲の邪魔をしないなら別にどうでもいいよ」
えっ。
……あやクルの方をチラリと見ると、「私は独占欲深いからな。諦める気はない」とドヤ顔で言う

もうやだこのナルシスト達。
「あんたら私の気持ちを考える気はないのかい?」
クルークは
「学校で最優秀であるこのボクに愛されているんだよ?むしろボクが感謝されるべきだ」
と言い、あやクルはあやクルで
「反抗されればされるほど無理矢理にでも手に入れたくなる性だからな」
と言う。
これってまさか私の精神が終わるまで絶対無限ループ?
……だろうね。
「そっかー。取り敢えず二人ともその性格直そうよ」
「「断わる」」
だよねー。
私は遠い目で「さあ私はいつあやしいフェノになるのかな」と呟いた。
そんな事になったら十界に戻るよ。絶対。
「……ま、それはさておき。いい加減朝御飯食べないか?」
「あ、食べる!」
……まあ、そんな事件を朝から起こしながら私の一日は始まる。
そして、異変の幕開けが――


「……で、今日なんでこんなに学校終わるの早いの?」
「木曜日の授業の振り替えなんだって」
木曜日?
……ああ、あったね課外授業。
私とアミティは四時間目の授業を終え、いつもの道を歩いていた。
「課外授業か……フィーバーからのクルーク殲滅は楽しかった」
「せ、殲滅!?でもフィーバーって最高に楽しいよね!」
「そうそう、ただ間違えてフィーバーの種が3連鎖とかになると何とも……」
アミティは「あるある!」と大きく頷いた。
通常でもできるわそんな連鎖!って。
「まあ入学したばかりの時は確かにジャブばっかりだったけどね」
「うん、それで連鎖を組んだ所に限ってお邪魔が降ってくるの!もう辛かったよ」
私が入学した時か……
確か四連鎖三連鎖が限界だったっけ。
しかも階段積みなんて知らなかったからほぼ偶然だったし。
階段積み覚えるのにも苦労したっけ……
「そっか、入学当初よりは私達も成長したんだね!」
アミティもまた頷く。
「そうだね!今じゃ誰でも三連鎖程度なら簡単にできるし、魔法も強くなってきてるし!」
うん、いいことだね。
「ところでアミティ、もうアミティの家通り過ぎてるけどいいの?」
「え!?」
あ、気付いてなかったんだ。
アミティが後ろを振り返ると、「あ、本当だ」と力の抜けた声を出した。
そして家へ向かい走り出す。
「じゃ、じゃあまた明日ね、フェノ!」
「うん!」
私は再び前を向くと、研究所まで一気に走り始めた。
といってもそんなに走らないけど。
「やっふー!!」
うん、実際300m走ればいい話だし。
私は上機嫌で研究所のドアを開ける。
「たっだいまー!!」
そこには何時もどおりの光景が広がっていると思いきや――

「だ……誰?」
「あ、どうも」
私は鞄を落した。
奥の薬品棚からいくつもの薬が消え、近くにはフラスコも転がっている。
まさか……
「私の研究所に強盗しに来るとは大したもんだね……ただでは帰さないよ!!」
「え!?」
私は手にエネルギーを集め、飛翔する。
「ブライト、ブライト、ブライト、サササンシャインレイ!!」
太陽の光が研究所を包み込む。
容赦はしないからね!
「な、何ですかいきなり!?」
「こっちの台詞だよ泥棒さん!」
私はさらに力を集め、強化魔法を掛けていく。
シュシュを外してリミッターを解除し、そのまま最強魔法を――
「フェノ、落ち着け」
「っ!?」
放とうとしたらあやクルに止められた。
私はしぶしぶ集めた光を解放し、床に降りる。
「はあ、ビックリしました……」
相手の女の子は疲れきった顔で立ち上がると、隣に居た人……着ぐるみ?を起こした。
そういやあやクルが覚醒できたってことはクルークが近くに居るんだよね?
「クルークー、ちょっと入り口まで来て」
私がそう言うと、クルークはすぐに部屋に入ってきた。
「確認もしないで攻撃するのは流石の私もどうかと思うぞ」
そーなのかー。
私は無言でシュシュを付けなおし、あやクルを消す。
「ふぅ。さて、経緯を話して頂きましょうか」
「あ、はい!えっとですね……」


私達は彼女達の話をを聞き続けていた。
どうやら彼女は「あんどうりんご」、「りすくま(せんぱい)」、「ささきまぐろ」というらしい。
そして人間界……もとい地球から来たらしい。
どうりて空気があっちのものだと思った。
で、何故ここに来たのかというと実験が失敗して爆発に巻き込まれた結果らしく。
それならこの研究所に居たのにも頷ける。
「なるほどね……さっきはごめん」
「いえ、分かって頂ければそれでいいです」
それから、私とクルークの名前も伝えて色々終了。
どうでもいいけど最近異変多いね。
「……さて、ところでりんご達はこれからどうするの?」
「え?そうだね……」
りんごは頭を抱えた。
あー、まだこっちに来たばかりだからね。
「クルーク、そういえばまだ布団余ってたっけ?」
私がそう問うとクルークは何故かツンとした態度で言う。
「残念だけどあんまり空きはないよ」
この態度は一体。
「あれ、そうだっけ?……ああ、そういや四つしか無いか」
ま、そこで期待のような何かを裏切るのが私なんだけどね!
「ま、私がどっかで適当に寝るか新しい布団を買えば問題ない」
りんごが目を輝かせ、私の手を掴む。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
え、そんな感謝されるようなことした?
……ああ、科学系のもの色々あるし実験し放題だしね。
「それじゃ、部屋とか物の場所とかは分かる?」
「そうですね、先程色々な部屋を拝見させて頂きました」
ああ、それなら問題ないね。
そういえば男性二人組がさっきから無口なんだけど……
「じゃ、私また鍵部屋似引きこもるから何かあったらこいつに聞いて」
私はクルークの肩を叩いた。
クルークは「まあ、そうだね。特別にこのクルーク様が教えてあげるよ」と頬を染めながら言った。
これで無問題かな?
「それじゃ、後よろしくー」
私は机にマニュアルを置き、例の部屋へ歩いた。

「よし、作業に取り掛かろうか」
作業机にこてやコンデンサ、抵抗等を並べる。
今回作るのは万能ラジオ、人間界の情報を仕入れたり発信したり、音楽も聞けたりする優れ物。
魔法でなんでもできる魔道界も魅力的だけどやっぱり人間界のも好きだな。
科学の力で不可能を可能にする。
自分の手で苦労して作りあげる達成感が非常に気持ちいい。
……ま、勿論よく失敗するんだけどさ。
「ふー。さて、頑張るか!」


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