あかいクルーク(あやクル&レムレス)



レムレス→夢主←→クルーク
      ↑
    あやクル

ある休日の昼下がり。なんか、恋人が紅かった。

「えーっと、クルークさんちょっとイメチェンした?」
「ああ、そう……いや、そんなことないぞ!わた、ボクはいつものクルーク様だとも」

すごくたどたどしく喋る彼は、いつもおぼっちゃまヘアに固められていた頭髪を無造作に乱し、ついでにマントを羽織ったイケメンさんになっていた。
デートの約束を知っているのは彼だけだし、まじまじと見つめてみてもその輪郭や体格はクルークのもので誰かが変装しているという訳ではなさそうだ。でも声はいつもよりとても低い。
でもまあいいか、となんとなくその様を流して今日のデートに関する話題を振ってみる。

「じゃあ、今日は何したいの?クルークが決める番だったよね?」
「そういえばそうだったかな……では、アルカの遺跡に向かうのはどうだ?」
「あれ、そこはこの前行きたくないって断られたような」
「き、気が変わったのだ!私があの遺跡を拒むはずがないだろう!」
「……クルーク、今私って」
「そっ、そんなのは何だっていいだろう!行くぞ!」

イメチェンの途中なんだろうか、なんだかとってもクルークはテンパっていた。狼狽すぎてあやしい人になってしまっている。
けれどそんなことを指摘する間もなくクルークは私の手を引いて遺跡の方向へ歩き出してしまった。なんだかいつもより腕の力が強くてちょっと痛い。やっぱりなんかあやしい。


「ふーん。マモノさんもナマエに興味があったんだ」


そんな思考を遮るように、後ろから声がした。
きらきらと流星のような光が行く手を阻む。クルークは魔導の主を察したのか、マントを翻して私をその中へ包み込み──そしてあろうことか舌打ちした。

「なんだ貴様は」
「え、クルーク、レムレスのこと忘れちゃったの?」
「おっと……勿論覚えているとも。レムレス、何の用だ」

なんだかとってもあやしいなあ、とは思ったけどまさか記憶喪失にでもなっちゃったんだろうか?
でもそれだとちょっとおかしいな。クルークはレムレスに向けて殺意剥き出しだし、レムレスはもはや紅くなったクルークのことをクルークとして見てないし。
もしかして私の知らない間に何かあったのかな?

「ナマエ、傍においで。そのマモノは危険なんだ、早く逃げてほしいな」
「奴の話は聞くな。私はクルークであって決して本のマモノではない」

レムレスは微笑みを崩さないままにこちらへ手招きした。けれどクルークは私を腕で制して行かせてくれない。それどころかもう片方の手に見たことない光を宿して、今にもそれをレムレスにぶつけようとしていた。
本当に彼はクルークなのかな、なんて再度考えてみるけれどあやしいのは口調と格好くらいでやっぱり本体はクルークだ。ほら、いつも持っている本からもタマシイが……あれ、泣いてる。しかもいつも見るやつの色と違う、こっちが本物のクルークか!

「……って、わかったところで状況は解決してくれないよね」
「何のことだ?わた、ボクは君の愛するクルークだとも」
「取り敢えずもう取り繕わなくていいよ、マモノさん」
「なっ、私はどこからどう見てもお前の恋人だろう!?」
「んー、見た目だけはね」

まあ、勿論正体が分かったところで「はいそうですか」と解放してくれる訳じゃない。むしろやけを起こして無理やり連れて行かれるだけだ。
でも、本のマモノとお話するのって中々レアな機会だしたまにはそういうめちゃくちゃなのもあっていいよね。

「……僕の前でナマエといちゃいちゃしないでほしいなあ」

なんて呑気なことを考えていたら、レムレスの魔導がマモノの隙を突いて直撃する。マモノは煙に包まれ、次の瞬間にはいつものクルークの姿で倒れていた。
あれれ、レムレスさんはどうしてそんなに怖い笑顔をしているの か   な

「ナマエ、ちょっとごめんね」
「ひゃ!?」

ピリッと電気が身体を貫く感覚。力が抜けて私もどさりと崩れ落ちた。
意識が朦朧とする中、だけれど口の中に唐突に押し込まれた飴の強い甘味だけは認識できた。

「ナマエとクルークは恋人だから今は仕方ないよ。でも」

それ以外がナマエに触れるのは許せないなあ、と最後にレムレスは甘く甘く微笑んでいた。


……………
あやクルがクルークの真似してるのを書きたかっただけ
レムレスは気付いたら病んでた。ごめんなさい

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