文字と文字、時々声で通じる私達。
もう会えない。そんなこととっくに分かってた。
けれど――けれど。
私は、諦められなかった。
「愛してる」
そう言えたら、どれだけ幸せだっただろう。
でもそれは叶わなかった。二人きりになることも想いを伝えることも出来ず。
彼は外の世界に戻ってしまって、彼に会うことも抱きしめてもらうことも、もう何もできなくて。
ただ、自分の感情を殺して友達のように文字と文字で会話するだけ。
正直に言ってしまうと、私はあいつのことが好きで好きで堪らない。一日一回は話さないと軽く発狂するレベル。
ああ、私はこんなに依存しきっているんだ。
自嘲する笑みを浮かべ浅い溜息を吐くと、おもむろに携帯電話を取り出す。
『受信メール一件:ささきまぐろ』
開かれた携帯電話の液晶には、小さな文字でそう書かれていた。
ドクン、胸が高鳴る。
「……」
メールボックスを開き、内容を確認する。いつも通り『暇……だね★』の一言だった。
彼は暇になると大体真っ先に私のところにメールしてくれる。
嬉しいけれど、なんだか彼の時間を削りすぎていたり束縛しすぎたりしていないかと不安になるのは私だけ、なのか。
『ごめん、私今ちょっと忙しいんだ。りんごちゃん達と遊んでなよ』
暇で暇で仕方がないけれど、敢えて忙しいと書いておく。そうしないと彼は五分に一通のとんでもない定期スピードでメールを送ってくる。なんでそんなに暇なのか。
と、そうこうしているうちにまたメールが返ってきた。
『そっか……でもちょっと聞いてほしい事があるんだけど、いいかな?』
忙しいことについては完全無視なのか。
でもまあ仕方ない、あの変わり種すぎる彼のことだ。それに何度も同じ目に合っているから正直慣れた。
『なるべく手短にしてくれるなら。何?』
文章も短くさらりと。すぐにメールは送信され、私は空を見上げてもう一度溜息を吐く。
時差があるのかは知らないけれど、その間に携帯電話はまたメールが届いたことを知らせる音を鳴らした。
流石に、早すぎやしないか。
「……」
小さなディスプレイに書かれた『受信メール一件』の文字。誰から来たかは流石に読まなくても分かる。
いつも通りだ。なのに、いつもより早いスピードで返信されて一瞬だけ息が詰りそうになった。
……気にしちゃいけない。何を予感していたんだ、私は。
普段通りにメールを開き、そして本文を確認すれば――
――好きだよ、ナマエちゃん。
…………………
gdgd。サバサバ夢主とか楽しいんじゃないかと思った結果がこれだよ
いや確かに書くのは楽しかったんですけどラストがすっごく納得いかん
(16/62)
title bkm?
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