不思議に思ったんだけど。
「ねぇ、シグ」
「?」
「そのアホ毛って生きてるの?」
私が注目した点。
それはシグのアホ毛である。
前に見たんだ。
風が吹いているわけでもないのに、シグのアホ毛が動くところ。
たしか……虫を捕まえているときだったっけ。
そんなことはおいといて。
「というわけでシグ。そのアホ毛、いじってみてもいい?」
シグは無言のまま立っていた。
そのまま私の方を見つめている。
いや、そんなことされましても……どうしろっていう。
あぁ、アホ毛いじればいいんだ。
私はそっとシグの髪の毛に手を伸ばす。
うわぁ、さらさらだ。
そう思いながら、上の方に移動させる。
アホ毛が指先に触れる。
その瞬間、アホ毛が何かに反応するかのように動く。
シグの顔を見ると、特に気にしていないのか、寝ぼけた顔をしていた。
しばらくいじっていたけれど。
「特に何もないねー」
「?」
言葉通り、異常なし。
……おかしいなー。
その時、私の頭に何かが乗っかった感触がした。
「ムシだー」
「えっ」
そう言ったかと思うと、素早く虫を捕まえる。
彼の手に乗っていたのはテントウムシ。
キレイな赤色だ。
「わぁー……」
嬉しそうな、楽しそうな。いつの間にか笑みを浮かべていた。
「!!」
私はその時、気づいた。
彼の頭のアホ毛が、ゆっくり。
まるでメトロノームみたいに揺れていた。
彼は、そのことに気づいていないようだった。
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結局何なのでしょうね、シグのアホ毛。
やっぱり、生きているのでしょうかね。
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title bkm?
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