少しくらい。(シェゾ)


「んで、何でお前がここにいるんだ」
「お前にその言葉を返してやるよ」

ちっ、と俺は舌打ちをする。
ったく、何でここ……俺のツリーハウスにいるんだ。
シェゾは家がないのか?
あぁ、あるか、洞窟。

俺、とは言っているが、誤解されないように一言。
俺は決して男ではない。生まれたときから女だ。
ただ、好き好んで『俺』と言っているだけだ。

「少しの時間だが遊びに来た、ってことでいいよな?」
「いや、いいよな、とか言われてもどうしようもないんだが」

まったく。
本当にこいつはよく分からん。
突然人の家に上がり込んでおいて勝手にご都合主義みたいなモノをつけて……。
まぁ、いいか。
過ぎてしまったことは仕方がない。
俺もそんなに恨んだりするタイプじゃないし

それにしてもアイツはさっきから何も言ってこない。
さっきから窓の外ばっかり見ていて。
何見てるんだろう。
そこから見える景色はあまり無いし、あるとしても森くらいだろう。
凄く興味がある。

「おい、シェゾ?」
「………ナマエ」
「はっ!?」

驚いた。アイツが俺のことを『ナマエ』って呼ぶなんて。
初めてじゃないか?

「……何」
「お前、もう少し女の子らしくなれよ」
「……シェゾ、言いたいことはそれだけか?」

何かと思ったらそのことか。
好きでやってるからいいじゃないか!

「いや……例えば『俺』から『私』に変えてみるとか。そうすれば、お前だって……」
「お前だって?」
「………ナマエだって少しくらい、可愛くなるだろ」

……シェゾ、そんなこと考えてたんだ。
珍しいな、アイツにしては。
俺……私は少し笑って言ってやった。

「私のことを考えてくれてありがとう、シェゾ」
「別に。そんなんじゃねーよ」

そしてシェゾはまた窓の方を見る。
ガラスに映ったその顔は、少しだけ頬を染めて笑っていた。



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何やってたんだ、自分。
ギャグ風にしようとしたらこうなった。なぜ!?


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