キミのその手に花束を(レムレス)


※死後ネタ
シリアス悲→ギャグ

「……」

空を見上げる。
それは、深く澄んでいて、とても美しかった。

「ほら、ナマエ。空だよ。綺麗な青空」

彼女のくれたネックレスを手で包みながら、そっと呟く。
今の僕をキミが見たら、きっと笑うんだろうね。「彗星の魔導師にも弱いところはあるんだね」って。情けないよって。
でも、そんなことはない。……キミは、もう。

「ナマエ……ッ!!」

僕の閉じた目から、何粒もの涙が零れ落ちる。
おかしいな、もう泣かないって決めたのに。……やっぱりナマエは僕にとって一番大切だったんだ、改めて感じる。
今言っても遅い事なのに。キミが僕の元を離れたのも、僕のせいなのに。
だけど――

――その青い空の下、彼女の入った棺桶がゆっくりと埋められていく。
やめて、僕とナマエを離さないで。無理なことは分かっている、けれど、

「レムレス!」
「っ、クルーク」

彼女の方へ揺らいだ身体を、クルークの声が止める。
振り向けば、涙目をしたフェーリも居た。

「……センパイ」
「レムレス、ナマエを失って苦しいのは分かります。でも」
「分かってるよ。……ごめんね、クルーク、フェーリ」

二人の頭を撫でる。でもやっぱり落ち着かない。
フェーリよりも高く、クルークよりはちょっと低い場所にある頭。あの感覚が手に染み付いてしまって、なんだかもどかしい気持ちになった。
会いたいよ、ナマエ。もう一度「大好き」って言って。
やっぱり目から零れる涙は、止まらない。
人を生き返らせるなんて芸当、僕にはできやしないけれど。
もし、願いが叶うなら……

「これにて、ナマエさんの葬儀は終了です」

その時、アコール先生は悲しげな声で言った。
ああ、もう終わってしまったんだ。ナマエとは、もう、

「いいいいいいいいいやああああああああああ!!」
「わっ、ナマエ!?」

本当にお別れになっちゃったね。
そう言おうとしたのに……

「助けてレムレス!ユウちゃんが、レイ君があああああああ!!」
「イェーイ!ナマエもやっと幽霊になれたね!一緒にお屋敷で遊ぼうよー!」
「ユウレイのお仲間さん……」
「わ、わあ……」

どうやらそうでもなかったらしい。
マント羽織っているのと足が無いのを除いていつも通りの姿をしたナマエは、凄い勢いで僕の腕の中に飛び込んでくる。それはすっぽりと収まり、体温こそ無いもののナマエの感じがした。

「来ないで……幽霊は苦手なんだってえええええええ!!」
「そんなこと言ってもー、ナマエはもうユウレイだよー!」
「一緒だよー……」
「助けてレムレス!一生というかまあ幽霊からのお願い!」
「あ、うん」

……良かった、まだまだ一緒に居られるんだね。
僕はナマエを後ろに下げると、彗星の魔法を放つ。

「ひえー!その魔導はやめてぇー!」
「眩しい……」
「ありがとうレムレ・・・ひぎゃああああああああ!!」

これからもよろしくね、ナマエ。
……あれ、ナマエ?


……………………
悲恋書こうかなと思って書いてたら隣で父が20thのユウちゃんルートしてる音が聞こえました。
そのせいでこうなりました。おのれ

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