「……」
「ぐー?」
「……」
「ぐー?」
壊れた、というわけではない。
私はただ、目の前の生き物が気になるだけだ。
黄色。
額の赤い石。
大きな口。
決定的な生き物だという証明は、『ぐー』と喋ったからだ。
呼吸もしているし、歩くし、ビスケットをあげたら美味しそうに食べたからだ。
「ねぇ、君の名前は?」
「ぐーぐぐぐぐぐぐ!」
「どこから来たの?」
「ぐぐぐぐ!」
「もしかして『ぐー』しか喋れない?」
「ぐー!」
だめだ、こりゃ。
どうしよう。
だからといって何も進まない。
「ぐー?」
「何?」
そういった途端、しょんぼりした顔になった。
ちょっと強く言いすぎたかな……。
「ごめん、それで何?」
「ぐぐぐーぐ!ぐぐっ!」
途端に明るい顔になる。単純だな。
目の前の生き物は突然小さな手で丸を作り、それを上下に振った。
なるほど。初めてこの生き物の言葉が分かった気がする。
「ぷよ勝負だね?」
「ぐー!!」
嬉しそうに笑顔を見せる。
「それじゃあ、レッツ?」
「ぐぐぐーぐ!」
「ばったんきゅー……」
「ぐっぐぐー!」
結局惨敗。
見た目は凄く可愛いのに、意外と技が怖いし、容赦ない。
「強いんだねー……」
「ぐーぐ?」
「あと、可愛いね」
「ぐーぐ?」
この生き物、自覚があるのだろうか。
まぁ、いいか。
「ぐ?ぐっぐ!」
「え?」
この生き物は私の服の端を引っ張った。
「ぐぐぐっ!」
指さす方は町。
きっと、何かがあるんだ。
言葉が通じなくたって、きっと大丈夫だよね!
「さぁ、行こう!!」
「ぐー!!」
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カー君とナマエさんの話。
喋れるといいなーとか思う今日この頃です。
(28/62)
title bkm?
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