異国語通信(カーバンクル)


「……」
「ぐー?」
「……」
「ぐー?」

壊れた、というわけではない。
私はただ、目の前の生き物が気になるだけだ。
黄色。
額の赤い石。
大きな口。
決定的な生き物だという証明は、『ぐー』と喋ったからだ。
呼吸もしているし、歩くし、ビスケットをあげたら美味しそうに食べたからだ。

「ねぇ、君の名前は?」
「ぐーぐぐぐぐぐぐ!」
「どこから来たの?」
「ぐぐぐぐ!」
「もしかして『ぐー』しか喋れない?」
「ぐー!」

だめだ、こりゃ。
どうしよう。
だからといって何も進まない。

「ぐー?」
「何?」

そういった途端、しょんぼりした顔になった。
ちょっと強く言いすぎたかな……。

「ごめん、それで何?」
「ぐぐぐーぐ!ぐぐっ!」

途端に明るい顔になる。単純だな。
目の前の生き物は突然小さな手で丸を作り、それを上下に振った。
なるほど。初めてこの生き物の言葉が分かった気がする。

「ぷよ勝負だね?」
「ぐー!!」

嬉しそうに笑顔を見せる。

「それじゃあ、レッツ?」
「ぐぐぐーぐ!」



「ばったんきゅー……」
「ぐっぐぐー!」

結局惨敗。
見た目は凄く可愛いのに、意外と技が怖いし、容赦ない。

「強いんだねー……」
「ぐーぐ?」
「あと、可愛いね」
「ぐーぐ?」

この生き物、自覚があるのだろうか。
まぁ、いいか。

「ぐ?ぐっぐ!」
「え?」

この生き物は私の服の端を引っ張った。

「ぐぐぐっ!」

指さす方は町。
きっと、何かがあるんだ。
言葉が通じなくたって、きっと大丈夫だよね!

「さぁ、行こう!!」
「ぐー!!」



==========
カー君とナマエさんの話。
喋れるといいなーとか思う今日この頃です。


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