縛る程に愛してる(あやクル)


「しぇ、しぇぞ、助けて……」
「ん?っておい!!大丈夫かナマエ!?」

全然大丈夫じゃない。
というかこの状況で大丈夫なんて言えたらいつもの束縛も普通に耐えられるって。
私は息を絶やしながら彼の肩を掴み、そして……ダレた。

「な、何があっったんだナマエ!?」
「話せば長くなるから単刀直入に言うよ……守って下さいシェゾ様」
「はあ?」

彼は調子の抜けた声で返すけど、残念ながら私をこんなにした元凶の気配が迫ってきていたので話す暇がない。
……ああ、来た。

「……貴様、私のものに手を出すとはいい度胸をしているな」
「なんだお前は!?」
「うげ」

紅の霧が辺りを包んだと思えば、目の前にはあと数年は見たくない人物――あやクルが立っていた。
シェゾは咄嗟に闇の剣を構えるが、それは彼の作った霧により簡単に朽ち果ててしまった。
うわあ、なんでこんなに本気なんだ。

「なっ、オレの剣が!?」
「うぎぎ……ってちょっ、こっちくんなあやクル!」
「何を言う、お前は元々私の手中にあるべきものではないか」

もの扱いかい。随分私も軽く見られたもんだね。
といってもどうせ太刀打ちできる訳が無く、私の身体は彼の魔導で簡単に動かなくなる。
やっぱりサタ……オッサンにでも頼むべきだったかな……?

「帰るぞ、ナマエ」
「あーれー」


そして、またいつも通り地下牢っぽいのに閉じ込められる。
主はその中に入り自らその鍵を閉めると、私に向かいにやりと笑った。

「あやクルさん、一つだけよろしいでしょうか」
「何だ」
「私達って恋人でしたよね。今更浮気する筈もないのにどうして私はこんなに縛られる必要があるのでしょうか」

あやクルは私の問いに対し、実に簡単な答えを言う。

「貴様を愛しているからだ」


………………
なんか違う。

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