変態をいじってみる(シェゾ)


「おいっす、変態」
「ヘンタイって言うな!そしてお前はウィッチか!」
「残念だったな変態、私はナマエだ」
「だからヘンタイって言うな!お前を頂くぞ!」
「どう見ても変態ですほんとうにありがとうございました」

色々な言葉をぬかしては変態扱いされるよね、シェゾ。
見た目と根はまじめなのに……ご愁傷様です。

「だからヘンタイって……もういい。ところでお前は何しに来たんだ」
「シェゾをおちょくりに来た」
「……」

彼は悲しそうな目をして黙り込んだ。
それはどうとればいいのだろうか。
自分が変態とみられて悲しいのか、それとも私が何か理由もなく来た事が悲しいのか。
シェゾの場合両方だな、多分。

「ごめんて……でも一応あんたが喜びそうな魔導書は持ってきたよ。あとアルル人形」
「なっ、なんでそんなもの持ってくる必要がある!?オレは別にアルルのことなど!」

やっぱりシェゾいじりは面白い。
彼は真っ赤な顔をして私に駆け寄ってきた。
……そしてさり気なく、渡そうと持っていた本を奪い取る。

「シェゾさーん、顔真っ赤ですよ」
「ヘンタイって言うな!」
「いや言ってないよ!あと顔近いんだけど」
「五月蝿い、黙ってろ」
「誰が黙るかの状況」

なんというかシェゾの剣幕?に押されて私は退く。
一応口は軽口叩きまくってるんだけどね。この人の顔が本気すぎて怖い。
……あ、ここの後ろ壁だ。というかその壁もうかなり近いんだけど。

「あのー、シェゾさん。なんで私はこんなに押されているんでしょう」
「お前が軽口を言いまくっているからだ」
「ごめんなさい謝りますから許して下さい」
「断る!」

わーい断られちゃったよ!
そして背中がついに壁についちゃったよ!
助けてアルル!ウィッチ!あとサタン(様)!

「……ナマエ。お前はオレがアルルを好きだと思っているのか?」
「え?あ、うん。主に変態発言とかから」
「そうか。だがそれは大きな勘違いだぞ」
「ついに変態をスルーしたか……成長したなシェ!?」

苦し紛れに紡いだ言葉は、あともう少しのところで止められる。
おい、何してるんだこの人。喋れないんですけど。
取り敢えず腹にアッパーをぶち込んでやると、シェゾはすぐに離れてくれた。
なるべく使いたくなかったんだけどな、対変態用奥儀。

「ナマエッ、お前……」
「ふはははは、苦しむがいい変態!私はこれでも外の世界で空手をやっ……て……」

……彼はいつものシェゾではなかった。
呆れながらも、私をどこかいつもと違う目で見ていた。
何、その目は。
物凄く嫌だ。早くいつもの変なシェゾに戻ってよ。
そう思って心配したのもつかの間、シェゾはいきなり耳元に口を寄せ、何故か嘲笑うように囁いた。

「……ナマエ。オレはお前が好きなんだ」
「嘘吐け変態」


ま、結局はいつものシェゾということで。


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