静かな林の芝生の上で(レムレス)


「ここなら誰も来ないかな」

芝生に私は腰を下ろした。
林の木陰。私は一人、そこにいた。
何もない一人の時間っていうのも大切だとつくづく思う。
友達といるのも良いけれど、たまには休憩もしたくなる。

風が吹いている。
ホント、静かな時間っていいなー。

「こ・ん・に・ち・わ♪ナマエ」
「ひょえええええええええ!!」

誰だこの時間を邪魔する人……ってレムレスだったんだ。

「ナマエ、隣いいかな?」
「どうぞ」

ありがとう、といってレムレスは私の隣に座る。

「何しに来たんですか」
「散歩だよ。せっかくの一人の時間だったからね」

たしかにいつもいるはずのフェーリがいない。
……珍しい気がする。

「ナマエも一人?」
「まぁ、一人の時間も大切ですから」
「みんなといると楽しいけれど、一人の時間もいいよねー」

わぁ、いつもお菓子ばらまいてる人が凄い発言を……。
考えが少し私と似ているのは認めるけれど。

「そう考えているんだよね?」

あれ、考えが読まれてた!?

「な……何で分かったんですか?」
「なんとなく分かるんだ。ナマエの考えていること」
「えっ」

びっくりしたなー。
きっと今思ったことも……。

「もしかして、びっくりしてる?」
「だから何で分かるんですか!!」

やっぱり…やっぱり不思議だ、この人!!
図星かあ……そんなことを呟いて空を見上げる。
鮮やかな青い空に雲一つない。

「快晴だねー」
「そうですねー」

空を見上げるのも悪くない。
レムレスは私に向き直る。

「そうだ、ナマエ」
「何ですか」

そして手を差し出す。
手を取ろうとするとその手を引っ張られる。

「ねぇナマエ、良ければ遊びに行ってもいい?」
「な、何故!?」
「お菓子作りがしたいんだ。あまり外にいると風邪ひくよ?」

言われていることも確かに納得は出来る。

「それに……」

レムレスは林の出口へ歩き出す。

「……二人で休憩しても楽しいことはあるからね」

まったく、よくわからない人だけれど、今日一つ分かった。


この人は私の本当に気持ちをわかってくれる人なんだって、さ。



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