サブタレイニアン(あやクル)


「何故、奴と話したかと聞いている!!」

ガシャン、私を縛る鎖が音を立てて揺れる。
痛い。けれど、悲鳴を上げることは許されない。
――目の前の紅は、狂っていた。
嫉妬のあまりか、ついに私は外の世界へ出ることを禁じられてしまったんだ。

「違う、クルークは」
「私以外の男の名を呼ぶなと言っているだろう!!」
「……っ、」
「私の名を呼べ」
「嫌、私は」
「……貴様がこの者のことが好き?ほざけ。お前は私だけを見ていればそれで良いのだ」

彼の声は狂気じみており、私の体をゆっくりと侵す。
怖い。
そう思ったのは何回目だろう。今も現在進行形でそう思っている。
どうして私はこうも面倒な人に惚れられてしまったのか。
それからどうしてこうなったのか。
クルークはどうなったのか。
聞きたいことは山ほどあるけれど、彼を怒らせるようなことは聞けない。
……殺される。

「お前は私だけを愛せ、他人のことなど考えるな。何もかもを忘れ、ただ私に溺れていればいい」
「私はそんな事――」
「望んでいない筈が無い。貴様は私と結ばれるべきなのだからな」

そんな筈が無い。
言葉は喉の奥に押し込まれ、彼はその無言を肯定と見なす。
私は本気で望んでいない。
むしろ全力で断らせて頂くくらいだ。
なのに。

「……」
「今宵の星もまた美しかろう。私と貴様を祝福する故に」

確か彼はどこかで似たようなセリフを言っていた気がする。
いつだっけ、どこでだっけ、思い出せない。
まだ自分の復活のことしか頭になかった時の話だっけ。
あのまま余計なことさえ考え出さなければ……

彼は何を思ってか私を縛っていた鎖を砕く。
強引に抱き寄せられた。
ああ、なんというか分かった気がする。
そろそろ終わりなんだね。

「……愛している」

この苦しいのから解放されるなら、生きていても死んでいてもどっちでもいい。
彼は最期に優しいキスをして――


………………
一昨日書きかけのまま放置されていた文章。
一日遊んでたら方向性を忘れてしまった

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