畏怖(あやクル)


目が覚めたら私はそこに居た。
そこは何処だかわからないけれど大きなお城だった。
広い広いその世界に、ただ一人だけ居る彼。
ただ、それだけ。


次の日も、そこに居た。
やっぱりそこは広いお城の中。
向こう側の鏡に自分の姿が見えた。
紫色の悪魔が居た。


その次の日も、底に居た。
底は暗い。でも、とても広い。
おととい見えた彼が静かに微笑んだ。
「お前もこの世界に来たんだな」


その次の日は、其処に居た。
心なしかこのお城が朽ちているように見えた。
彼の言っていることと関係があるのかな。でもいいや。
私が此処に居るなら。


その次の昨日は、どこかに居た。
記憶が曖昧すぎた。何が何なのか分からない。
彼が居た。昨日の彼が。
彼は寂しそうな顔で呟いた。
「ごめんな」
なんで謝られているんだろう。
私は此処に居るだけなのに


その次の明後日は其処に居た。
ふわふわする。
ただそれだけ。
彼は居なかった。


その次の一昨日は其処に居なかった。
じゃあ私は何処に居る?
此処に居る。でも居ない。
なら私は何処に居る?
此処?其処?向こうの鏡の中?
彼は私を探していた。


その次の今日は壊れた。
良く分からない何かで壊れた。
ただ、壊れた。バラバラになった。
それだけ。


その次の日は知らない。
何も知らない。分からない。
記憶も何も覚えてない。感覚さえ曖昧らしい。
ふわふわ。


その次の次の日は其処に居た。
久しぶりに彼に会った。
彼は苦しい、でもとてもうれしそうな笑みを浮かべていた。
「これでずっと一緒だ」
どういうことだろう。




気付くと、私は何故かちゃんとした自我を持つようになっていた。
そして、知ってしまった。
此処は何処なのか。
彼は何者なのか。
この城は何処のものなのか。
何もかも、何もかも。

そっか、私は生きていて死んでいるんだ。
可笑しいね。
それでもいいや。
此処に居られるなら。


「おやすみ」


誰かに呟かれたその声は、誰のもので何のためなのか。

……………………
一見意味不明で支離滅裂な文が書いてみたかった。
パッと見よく分からない文ですがよく感じてみると何か分かったり分からなかったり。
文章ロールシャッハテストです。
……ごめんなさい。

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