シグにひっついてみる。(シグ)



「ムシだー」
「ムシなのかー」
「捕まえろー」
「おー」

間違ってもシグが分裂した訳ではない。
こういう暇な時に限って校舎にアミティも誰も居ないから校庭をうろついていたシグを尾行させてもらった。
気が付いたら完全に子分ポジションになってるんだけど……いいのかな、これ。

「カブトムシー」
「クワガタも居るぞー」
「あーアミティだー」
「捕まえ……ちゃ駄目だよシグ!」

本当にシグの考えていることはいまいち掴めない。
思考回路が謎だらけというか、なんというか。
それこそ頭が空っぽだからこそ成せる技、なのかな?

「シグにナマエ!こんなところで何してるの?」
「ムシとりー」
「暇だからちょっと尾行してたの。なんか仲間にされてるけど」

アミティはにっこりとほほ笑み、「楽しそう、私も混ぜて!」と隠し持っていたと思われる虫取り網を取りだす。
なんでそんなもの携帯してるんだろう。趣味?

「よし、それじゃあシグ。どっちが多くムシを取れるか競争だよ!」
「臨むところだー。……ナマエはこっちー」
「ちょい待ち。なんでいきなり虫取り競争に巻き込まれ「よーし!いくよナマエ、シグ!」ねえ人の話聞いてる!?」

勿論聞いてないんだろう。でもいいや。
二人ともいい笑顔だし。
頷きながらシグに付いていこうと走り出したその時、校舎からアコール先生の声がした。

「ナマエさーん?課題の提出を忘れてますよー?」

……わあい。

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