冬至といったら(レムレス)



今日は冬至。
昼の時間が一年で最も短い日だ。
これからが冬の本番だというのに、今のうちにもうそんな日が来るのはどうかと思う。
けど、冬至は一応今日だ。

「ひい、寒い寒い……」

そんな中、私は一人家路を急いでいた。
ほぼ人の居ない公園や商店街、それから森。
外の世界の風習を真似ようとしていえぷよカボチャを買ってきたけど……
無理。家に辿り着く前に力尽きるよ。
煮れば甘いしレムレスにでも持って行こうと思ったんだけど、ね。
正直この寒さは辛い。テレポーテーションでもできない限り隣町へは行けないや。
仕方ない、シグかアミティのところにでも持ってい「こ・ん・に・ち・は。随分大きないえぷよカボチャだね」
……え?
なんか今レムレスの声が聞こえたような聞こえなかったような……
幻聴かな?というかそれ以外あり得ないか。
私はぼーっとしながら再び家路を歩き続ける。
幻聴まで聞こえるなんて、そんなにレムレス不足だったっけ?

「あれ、ナマエ?家にも図書館にも居ないから心配したんだよ?」
「……」
「もしかして……嫌われちゃった?」

嫌いな訳ないって。というかさっきからやけにリアルな幻聴だなこれ。
もしかして死にかけてる?それなら最後にレムレスの声聞きたくなるのも分かるや。
……でも、なんかおかしいな。
ちょうど今まで持ってたカボチャが謎の手に浮かされて……!

「うわああああああああ!?レレレレ、レムレス!?」
「あれ……もしかして気づいてなかったの!?」

幻聴じゃなくて本物だったんだ……
顔を引きつらせ、レムレスから少し後ずさる。

「ご、ごめん……気付かなかったというかなんというか、幻聴だと思ってた」
「やだなあ、僕は最初からキミの隣に居たのに」
「あははは……」

ごめんなさい先輩。
でも幻聴としてレムレスの声が聞こえていたとしてもそれはそれで幸せだけどね、私は。
最も、そんなことしたらこの人に意地でも止められるんだろうけど

「それにしてもどうしたの?こんなに大きなカボチャを持って」
「外の世界では冬至にカボチャを食べる習慣があるらしいので。甘いしこれならレムレスにも食べられるかな、と」
「へえ、ナマエは物知りだね」
「クルークにどうでもいい知恵ばかり埋め込まれてるからね」

とはいえ、この人が砂糖以外の甘いものを食べるかというとそんな訳無い。
少なくとも私が見た限りでは。

「……砂糖以外のものもたまには食べてよ。体に悪いから」
「ナマエの手料理なら、ね」

そんな冬の家路。
レムレスと一緒なら、もう寒くない。

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