第三章「君が待つあの街まで」


「着いたドン」

 走って約三時間、ようやく辿り着いたその森はほの暗い。

「ここで散歩って……中々勇気あるね」
「きょーじゅは冒険が大好きな人間だから仕方ないドン」

 仕方なくはないと思うドン、ときせのんが突っ込む。違和感ないな。
 どうやらこの森は「天妖の森」といって、太鼓の難易度でいうと☆9レベルの魔物がうじゃうじゃいるらしい。でも何故にそんな難易度表記がされるんだろう。武器じゃなくて音楽で敵を追い払ってるとか?

「ま、☆9とはいえきせのんでも頑張ればいけるだろ。天妖だから一応最弱レベル」
「天妖ノ舞だドン」

 戦犯どらはバチの素振りをしながら言う。ぱんどらもやる気のようで、心なしか目が若干紅く色付いているように見えた。

「兎にも角にも、早くきょーじゅを探すドン!」

 緩みかけた空気をもう一度張りつめさせたのは、たかし。確かにこんなこと話してる時間はないね、と私と戦犯どらが頷く。

「そうだドン、こんなところで無駄話してる場合じゃないドン!」
「たかし、まずは教授を見失ったところまで案内をお願いするよ」

 了解だドン、と言うなりたかしは猛スピードで走り出す。きせのんとぱんどらもしっかり追ってはいるが、上に乗っている私と戦犯どらが振り回されてかなり危ない。

「ちょっと待ってきせのん!速すぎて振り落とされそうなんだけど!?」
「頑張るドン、もう少しで到着するドン!」

 きせのんの代わりにたかしが答える。「あそこだドン」、叫んだ彼の目線の先には何故か霧の濃い開けた場所があった。

「霧が濃い、気をつけな!」

 気をつけろって言われても困るんですけど!
 走る太鼓は本当に速く、戦犯どらに忠告された直後に周囲が真っ白に塗りつぶされたかのような感覚に陥った。勿論、原因は言うまでもない。

「ここだドン」
「わーい戦犯どらが見えない!何処ですか」
「さー何処だろうねー」

 ここまでくると視界が役に立たないので、目を閉じて声の方向で居場所を掴んでみる。どうやらそこまで遠くにいる訳ではないらしい。

「確かこの辺りできょーじゅが消えたんだドン。何か手掛かりがあったら教えて欲しいドン」
 たかしはそう言って雑草のを払いながら何か落ちていないか確認を始める。勿論あっという間に見えなくなった。せめて声の届く範囲にいればいいんだけどね。

「ここでたかしを待っているのも勿体ないドン。僕たちも探すドン!」

 霧の向こうから聞こえてくるぱんどらの声。ガサゴソといういかにもな音からして、多分戦犯どらたちも手掛かりを探し始めたんだろう。

「そうだね、じゃあ私たちも捜索するとしますか」
「了解だドン!」

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