プロローグ「おいなんだここ」


 どうも私です。現在私はいつも通り登校をしていたところだったんですよ。そしたらですね、

「何これ」

 気付いたらやたらと賑わっている江戸というかなんというかとにかく祭なうな良く分からん世界に立っていたんですよ。えーと、これはつまり私が突然ぶっ倒れて天国来ちゃったとかそういうやつ?
 ああうん、いやべつにそれはいいんだよ。まだ説明がつくから。まだギリギリ雰囲気は現実っぽいし登校中だと思いこめばちょっとおかしいだけでなんとか三次元だと認識できるんだ。
 でもね、

「初めまして、ボクきせのん!キミのマイどんちゃんだドン!」

 誰だこいつ。


「……えーと、きせのん。いくつか質問したいことがあるんだけどいいかな?」
「どんとこいだドン!」
 
 彼?彼女?良く分かんないけどきせのんは笑顔で頷く。キラキラした目、水色の胴、明らかに付けても意味が無いであろうヘッドホン、そして背中に乗っている猫と謎生物。ああ、この子アレか。私がゲームで使ってる子だ。

「もしかしなくてもここ、太鼓界?」
「正解だドン!ここはボクたち太鼓とドンだー達が暮らしている『常祭の街』だドン!」

 街のネーミングセンス無えな。そのまんま?
 しかしどうやら私の考えは合っていたらしく、本当に二次元に来てしまったらしい。さよなら私の高校生活。
 そんな感じで朝起きてまた三時間も経過していないというのに早々に燃え尽き掛けている私でしたとさ。もはやここに連れて来られた理由も聞く気にならない。
 仕方なくきせのんを茫然と見つめていると、その理由はむしろきせのんの口から告げられた。

「ここにせーとを連れてきたのには、理由があるんだドン」
「ん?せーと?……生徒?私のことか」
「そうだドン。実は少し前に『きょーじゅ』が天妖ノ森で行方不明になっちゃって……一緒に探してほしいんだドン」

 え、何、そのためだけに呼んだの?私はあまりに単純な召喚理由にくらりとしながら、しかし此処へ来て何もしない訳にも行かないので「わかった」とだけ呟いた。
 瞬間、きせのんの顔がぱあっと輝く。可愛いな。
 ……というかちょっと待て。なんであいつ太鼓界に居るの!?

「ただ、一つだけ問題があるんだドン」
「うん?」
「きょーじゅはたかしを不思議な何かから守った結果何かに連れ去られた、って聞いたんだドン。もしかしたら大変なことになってるかも……」
「……おう」

 その場合私じゃ完全に手が負えない気がするんですけど。なんというか教授も大変だな、と軽く同情しながらため息を吐く。初段が手を出していいもんじゃないよこれ。

「とにかく、まずはたかしの所へ行って詳しいことを聞いてくるドン。大丈夫、せーととぱんどらが居ればきっとなんとかなるドン!」
「そうだね、ってなんか今しれっと凄い名前出てこなかった?」

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