第六章「槍と書いて魔法のほうきと読む」


 おかしいな、結構寝たはずなのに寝た気がしない。教授のせいですね。

「おはようきせのん。目が死んでるぞ」

 いつものテンションで話しかけてくれる戦犯どら。そういえばこの人はあいつの夢を見なかったのだろうか。

「取り敢えず比較的重要な情報が出てきました。でもそれ話す前にあと一時間だけ寝かせて下さい」
「おい」

 とは言われたものの、次元を超えたり別の世界へ行ったりするのは結構疲労が溜まるらしく、一時間限定で睡眠時間を入手いたしました。
 そしてぴったり一時間寝た後、私は夢であったことを戦犯どら達に全て吐きましたとさ。残念ながらたかしを含め私以外が教授の夢を見ることは無かったらしい。

「空の上なあ……どうやって行くんだ?」
「そこなんです」

 話を聞いたところ、きせのんは自分の体を液体や気体にすることができるから一応行けるらしいけれど、他の二つの太鼓はそういう系の能力ではないから難しいとのこと。ぱんどらは太鼓界に飛行機とかは無いらしいため却下。

「一応飛び道具ならありますよ、槍」
「……あれで飛ぶのか?」

 少し前の会話を思い出しながら戦犯どらは苦笑する。きせのんは気体になれば一人で行けるらしいから、それに飛ばしてもらえばいけなくはないと思う。二本あるしね。

「それしか方法がないなら仕方ないドン」
「きょーじゅを助けられるなら問題ないドン」

 ちなみに太鼓二人は普通に受け入れてたりします。後は戦犯どらだ。

「どうします?試す価値はあると思いますけど」
「まあな……仕方ない、やってみるか」

 いかにも気が進まないといった返事ですが私たちは気にしません。バッグにバチ二本を入れたことを確認して、私たちは天妖ノ森へ走った。



「さて」

 昨日探索した湖一歩手前に立つ二人と三つの太鼓。私の両手には二本の馬鹿長い槍。

「……本当に飛べるのか?」
「無理だとしても試行するしかないですよね」

 きせのんを後ろに立たせ、早速たかしと一緒にまたがってみる。飛ぶ方法としては投げてもらうのが手っ取り早いかな。

「このまま普通に飛んで行って空飛ぶ箒っぽくなってくれることを期待。戦犯どらとぱんどらも速めに乗っちゃってくださいな」
「お、おう」
「了解だドン!」

 四人で槍の上に座ったり跨ったりして、後は落ちないことを祈りながら飛んでみるのみ。最悪落下時はきせのんがプールになってくれるから問題なし。多分。

「それじゃあ、準備はいいカッ?」
「いつでもどうぞ」
「大丈夫だドン!」

 きせのんは一気に二本の槍を持ち上げ、空高く――投げた。


……………
次回からサビ

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(7/12)
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