Memory4「大都会の空気はダークネス」


トンネル潜ればそこはまさかの大都会。
これが都会か。田舎者丸出しだけど初めてみた気がする。
なんだろう、なんかすっごく眩しい。そして――ドス黒い。

「どうしたの?エレナ。なんだかとっても顔色が優れないけれど……」
「だ、大丈夫。ちょっと眩しすぎて」

ポーラはクスクスと笑う。決して嫌味ではない綺麗な笑みの筈だったけれど、今の私には物凄く嫌な笑顔に見えた。
なんだろう、この都会って。色々な色が混ざりすぎて真っ黒に近くなっているというか、よくないものが一点に集まりすぎているというか……

「……ネス、ヒーリングβって覚えてる?私まだ取得できてなくて」
「一応持ってるよ、ってなんで気持ち悪くなってるのエレナ!?」

理由は私が一番知りたいよ……何でだろうね。

「ごめん、ちょっと変なものが色々流れ込んできて」

ネスとポーラは頭に?マークを浮かべる。そういえば言って無かったっけ。私の得意PSIってテレパシーとシールドなんだ。
故に時々空気から色々読んでしまう時があって、それが不穏だったりこういう慣れないものが一気に流れ込んでくるとちょっと……つ、辛い。
体質だから仕方ないんだけどね。でも取り敢えず何やら嫌な予感がするのは間違いない。

「ちょっと待ってね……はい、これで治ったはず」
「ん。ありがとうネス」

まあ、なんとかなるよね。ジェフもネスさんも居るし。
私は一つ深めのため息を吐き、次の目的地と思われる酒場へ歩く。
……どうやらここにモノトリーさんなるここを支配してる人がよく来るらしい。何だろう、名前からして怪しい。

「成程ね、そのモノトリーさんが今回のキーパーソンの気がするわ」
「そうだね。ところでさっきから看板だのタクシーだのに襲われるのはどうして?ダメージ受け過ぎて装備の必要性も改めて感じられてるんだけど」
「そういえばエレナはまだ装備何も無いんだっけ、武器以外」
「うん。あのタイミングで入ってきたから仕方ないといえば仕方ないけれど」

けどディフェンス低いのは正直結構苦しい。体力は割とあるからまだ何とかなるけれど、流石にダメージをモロに受け続けるのは精神的に無理がある。
出来ればバンバンガン自体も買い替えたいんだけれどね。威力不足な気がするのは絶対私だけじゃない。

「それならデパート行きなよ。さっきの大きめの建物だろ?」
「残念ながらまだ開いてないみたいだよ。街の探索がまだ済んでないし、まずはそっち優先」
「そうか。……残念だったね、エレナ」
「……いいよ別に」

ネスは笑いながら目の前に現れた暴走タクシーをバットで即解体する。なんというか、これでも前まで普通の少年だったのかな。というかジェフもそんな物騒な人になっちゃったんだろうか。
……もしそうなってたら嫌だね。いつか頭撫でる振りして銃で殴られそう。もしくは口答えするだけで射殺されそう。

「ジェフ、頼むから私を殺さないでよ」
「殺す訳無いじゃないか。突然何を言い出すかと思えば」

そう言いながら遠くの敵を見つけようと銃を構えるのやめてほしい。確かに私も狙撃手だし気持ちは分かるけれど。

「あら、トポロ劇場?もしかしてトンズラブラザーズも居るのかしら」
「多分そうなんじゃないかな。行ってみようか」

そしてネスとポーラは私たちを放置しないで。
追いつこうと走って彼らを追いかけた場所には、確かに大きな劇場があった。……ところでトンズラブラザーズって誰?


prev next


(5/12)
title bkm?
home





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -