Memory2「早々に次の街へ」


「ん、んー……」
「……ナ!おい!エレナ!」

なんだろう。すっごく聞き覚えのある声がする。多分男の子。あとえらい眩しい気がする。ここどこ。
ああ、そういや私テレポートマシンに乗ってなんか変な座標に飛んだんだっけ。そして酸素不足だなんだって言いながら倒れてえーっと……

「エレナ!」
「うわっ、びっくりした!」

……ああ、そうだ。
私はジェフもといポーラに導かれてスリークにきたんだった。

「やっと起きたか……遅いよ。色々と」
「やっと来てくれたのね。初めまして、私がポーラです」
「えーっと……僕はネス。よろしく」
「う、うん。取り敢えずよろしく」

彼らの話を聞く限り、どうやら私は三日ほど気絶していたらしい。そしてその間にスリークに跋扈していたらしいゾンビはなんとかなったそうで。どうりて病院なんかに運び込む余裕があるはずだよ。
でも取り敢えず生きててよかった。ジェフは懐かしそうな目でバンバンガンと私を交互に見つめると、何故か満足そうに頷いた。

「何年ぶりだろうな、こうしてまともに話すのは」
「そうだね、少なくとも入学してからはまともに話してないと思う」

つまり二、三年は話してないってことか。
そもそもこの人と合うものといったら機械の話しかないからね。一応仕方ないと言えば仕方ないことだけど……
ジェフは昔のように私の頭を適当に撫でまわしながらネスとポーラに言った。

「改めてこいつが僕の幼馴染のエレナ。僕より狙撃に優れたサバイバルゲーム好きの元野生児。目は近視と乱視の入ったガチャ目。成績は常に僕の一つ下。君たちはそれでもこいつを冒険に持って行くかい?」
「その言い方かなり傷付くんだけど。あと髪引っ張らないで」

そして自己紹介くらい自分でさせて欲しい。多分言っても意味が無いだろうから言わないけど。

「これでも少しくらいなら超能力も使えるよ。といっても攻撃はあんまりできないけど」

それでもネスとポーラは同時に頷き、「これからよろしくね」と笑う。どうやら私も冒険に連れて行かれることになったらしい。
別に、元々最初からそのつもりで来たけれど。

「じゃ、決まりだね。エレナ」
「勝手に仕切らないで」

ジェフは私以外には分からないくらい小さく頬笑み、もう一度私の頭を撫でる。
あれ、なんか違う。

「さ、ジェフ、エレナ、ネス。早くフォーサイドへ行きましょう。バスが来ちゃうわよ」
「病院でこんなにノロノロ話しててよく言えるよその台詞」
「言ったら負けよネス」

ネスさん、そんな皮肉たっぷりに言わないでください。
本気で傷付きます。ハートブレイクします。


…………………………
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