Memory1「始まりは大体突然」


「うーん、ここ最近毎晩変な声に魘されるんだよねー」
「え、何その声」
「分からない。ポーラっていう女の子らしいんだけどさ、『早く目覚めて南の方へ!』とか『ジェフという人を知っていますよね?あなたに会いたがっていますよ』とか」
「ジェフ、って隣のクラスの変人?」
「多分そう。なんというかストーカーじみてて正直聞きあきたんだけど」
「あーねえ……」

朝、スノーウッド寄宿舎で身支度をしながら友人と話をする。
本当に何なんだろう。普段なら気にならないようなもののはずなんだけど何故か気になって仕方がない。
なんというか、その声に従わなきゃいけない感じがして。
でも、その隣のクラスの変人――一応だが幼馴染であるジェフが私と同じような声を聞いて行方不明になったとかそうでもないとか。
そんなこと聞くと余計不安になる。……正直言うと面倒なだけなんだけど。

「でも確かに最近動物の凶暴化とか結構酷いらしいよね。噂ではこの校舎の外でカラスが暴れまわってるとか」
「なにそれこわいバンバンガンでボコるわ」
「狙撃(物理)だね。やめたげて」

冗談だよ、と言いながら歯ブラシを口に突っ込む。バンバンガンは少し前、ジェフから誕生日に頂いた物理的攻撃にも向いた変な銃だ。重い。
置き場所が無いからロッカーに入れてるけど、正直使い道も無いからこっそり捨ててしまおうとも考えている。
だってジェフさん多分行方不明だし。

「……取り敢えず学校行こうか」
「まってまだうがい終わってない」



そんな感じで一日を過ごしました。
そして寝ました。いつも通りな夢を見ました。

「……またポーラ」

この夢を見る度に無理やり起こされるのはなんとかしてほしい。取り敢えず溜息を吐く。
今日はどうしようか。ぼーっとベッドで横になっていても完全に目が醒めていて眠れないし、かといって消灯時間過ぎてるからあまり行動することも出来ない。
……いっそ行ってみるのはどうだろう。いや面倒だ。第一外へ出るための扉が閉まっている。
じゃあいつもどおり何かしてる?でもそろそろ飽きてきた。
起きた後から聞こえてくる耳鳴りも、今日はいつも以上にやかましいし。
これはもう何としてでも来いっていう暗示なんじゃ……

「私は一体どうすればいいのよ……」

曇天の空に、流れ星が一つ瞬いて消えた。



結果。
なんだかんだいって私は現在アンドーナッツ博士の研究所に居ます。
つまり、寄宿舎抜け出してきました。

「ふむ、私の息子達の所に君も行くつもりかね?」
「はい。なんかもう色々と疲れたので」

明らかに別の意味で捉えられただろうけど、面倒なので気にしない。
私は都合よく用意されたスペーストンネル(試作品)を使って彼らのいる場所を目指した。


そういえばこの機械って確かアップルキッドさんとの共同開発だっけ。
特に自分の行動とは関係ないけど見る限り二人の技術はどこぞのジェフさんと私より遥かに凄い。
ううむ、やっぱり経験の差なんだろうか。

『・ジェフサン ノ サーチガ カンリョウシマシタ』

ふと機械音がして思考を強制停止させられる。左から三番目のモニターに座標が示されていた。どうやらスリークなる場所に居るらしい。
……えーっと、スリークって何?街?

「ま、まあいいや。取り敢えず座標を固定してテレポート、と」

――最近の機械って確かに多機能だけどさ。その分操作とか究極に分かり辛いんだよねー
昔ジェフとしていた会話を思い出しつつ、目の前にあった赤いボタンを押す。
取り敢えずこれでテレポート……あれ?可笑しいなZ軸座標が変な空間指し、て

*いしのなかにいる!*


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(2/12)
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