Memory11「機械に為し得ないもの」


同時に両手を僕たちの前に突き出し、強い光を発生させる。
「PK……ビーム!!」
このビームはβ程度だろうか。間一髪で避けた瞬間、とても強い熱気とよく分からない力を感じた。
「ジェフ、何してるの!?もし目の前のエレナが本物だったらどうするのさ!」
「大丈夫、僕の知るあいつにこんな奴は居ない!」
それはごく単純で曖昧な理由。けれども、それは僕を突き動かす大きな力となった。
偽物なんかに会ったら当然不安になる。もっとあいつに早く会いたくなる。
苦しくてたまらない。なんだろう、この強い痛みは。

「絶対本物を見つけ出すよ……!」
「うーん、ジェフが言うなら合ってるのかな?そー……れっ!」
「話聞かないね二人とも……ってうわあっ!?」

ため息を吐きながら、彼女はスーパーボムの爆風を受け流す。しかしその刹那、ネスの圧縮された強すぎる念動波がそれに襲いかかった!
油断しきっていたエレナもどきにそれは普通に直撃し、それのバランスはあっという間に崩れた。

「なんてこトを……許せナい」

一気に削ったのだろうか、エレナもどきの声は一気に掠れ、電子音が入ったようになっていた。やはり偽物だったらしい。
あれくらい圧縮された波動でも、本物のあいつならきっとビームで押し返す筈だしね。

「許セない許せナイ……PKビーム!」
「……なっ、ジェフ、危ない!」

怒り狂ったらしきマシンは血走った目で先ほどよりも強力なビームを放つ。しかも僕へ向けて一直線にだ。
高速スピードで向かってくるそれをじっと見つめながら、僕はふと思い出す。それはさながら走馬灯のようだった。
――あいつが超能力に目覚めた日のこと。そしてPKビームを打つようになったときのこと。
奴は言った。「超能力と魔法は殆ど同じ。だから私には正直そこまで使いこなせない」と。
唯一使いこなせるのはPKビームのみ。理由は簡単、ビーム自体は銃や溶接などの場面でよく使っていたからだ。
……そんな思い出の技をいとも簡単に、しかも偽物ごときに使われては困る。
怒りなのかもはやよく分からない不思議な感情を込め、僕は無意識に手にしていた銃を勢いよく吹っ飛ばした。

「ペンシルロケット!!」

正確にはペンシルロケット5。でもそんなことはどうだっていい。
五発連続で発射したそれはビームを斬り裂き、一気にマシンのところへ――


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(12/12)
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