あやクル@じゅーえん


目が覚める。そこは暗い図書館のような場所。
身体を起こす。けれど、不思議なことにそれは動かない。

「あれ……?」

一旦目を閉じ、直前までに何があったかを確認する。しようとする。
何も思い出せなかった。ただいつも通りのことをいつも通りに終えた、その後突然記憶が途絶えていた。
一体此処は何処なのか。それから何故此処に居るのか。もしくは連れて来られたのか。
再び目を開き、唯一動くそれで状況を悟ろうとする。
寝起きだからか視界が若干ぼやけて周囲が見辛い。あと私ってこんなに分析家だったっけ。
やはりそこは図書館。でもただの図書館ではない。
とても古い気を感じる。それから、よく読まれてるからか本から微かな魔力も――
そしてその魔力は、全て同じ性質の。
つまりこれは私有図書館であることを意味する。こんなに古くさらに大量の本を持つなんて相当だ。魔力の質もアミティ達とは違ってかなり鋭い。
……ううん、余計わからない。どうしてこうなった。

「目が覚めたか」
「っ!?」

思考を巡らせている間に、どこからか低い男性の声。
こいつが私を拉致った元凶か。何処に居るのか探そうとしたけれど勿論身体は動かなくて。
目で周囲を見回すけれども、勿論そこに彼と思われる姿は無かった。

「……誰」
「私を覚えていないのか?かつて貴様があやクルと呼んだ者だ」

ククク、喉を鳴らして笑う声が図書館内に響く。あやクルってそんな人居たっけ。
記憶の海を探るけれど、どう足掻いても似た名前(クルーク)しか出て来ない。

「思い出せないか。まあ無理もないが……」

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(7/7)
title bkm?
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